おまけ
13 イメチェン
おまけの話だ。
誰に言ってるのか分からない?
俺も分からない。
だから勝手に始める事にする。
鏡に映ったちょっとした美形を見る。
誰だ?
俺だ。
彼女に釣り合う恰好良い男になろうと、四苦八苦している俺だ。
ファッションを研究したり、髪形を整えたりしてみた。
今日は髪型の日だ。
ハサミを持った人に、髪をちょきちょきされた。
そしたら、ちょっとだけ男前率が上がった。
鏡を覗き込んだら、一瞬だけ別人がいるかと思った。
他人と目があった気がして、「あっどうも」とか言いそうになった。
何だそれ恰好悪いやつだな。
見た目が変わっても中身は変わらなかった。
でも、俺はモブだと思っていたけど、磨けば少し光るちょっとレアなモブだったのか。
勇気を出した俺は、少しだけ救われた。
彼女に釣り合う男になりたい。
そう思ったものの、何をすればよいのか分からなかった。
毎日困っていたのだ。
攻略対象達の威光もいつまでも続くわけじゃない、だから主人公にふさわしい俺になるべきだと思った。
なんだか、これからの事が全てうまくいきそうな気がしてきた。
俺は単純だった。
髪を整えてくれた人にお礼を言って、るんるん気分に浸った。
しかし翌日、彼女とデートしようと思ったら、空から落ちてきた鳥の糞に直撃した。
間抜けなのは誰だ?
俺だ。
俺しかいない。
この状況でぽっと出の第三者が出てきたら皆驚く。俺も驚く。
なさけなくなった。
しかし、そんな俺の話を聞いた主人公は、笑って慰めてくれた。
いい子だった。
俺にはもったいない。
無理をしなくても良いのだと言ってくれたが、俺はこれからも頑張る事にした。
デートに待ち合わせて、やってきた主人公は超絶可愛かった。
きっと俺のために、おしゃれな服とか髪型とか悩んでくれたのだろう。
女に努力させて、自分だけ努力しない男は嫌いだ。
だから、俺はめげない。
モブっぽい自分にさよならできるまで、頑張る事にした。
「……俺だ」 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
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