第10話 召喚

 バイト行かなくちゃな。

 学校は休んでも日々の生活のためにバイトは休めない。貧乏学生の辛いところだ。


「店長、今月いっぱいで退職させて頂こうと思います。」

「どうしたんだ優輝、何かあったのか?」


 より高額なバイトがあるため、そちらを優先させてもらいたいと話すと一言だけ言われ了承してくれた。体に気をつけろって。いきなり辞めるって言ったら怒られると思ってたのに。店のことはいいから、次のバイトに明日からでも入れってどこまでいい人なんだよほんとに。明日改めて退職の挨拶に来よう。

 部屋に戻り扉を開く。いつものように石畳の部屋だ。

 

「おかえりなさいませ、橋本様。本日はもうダンジョンにはいらっしゃらないと思っておりましたがどうやら検討違いだったようです」


「いや、合ってるよ。ptが300もあったから換金したくて来たんだ。ゴブリンは獲得ptが高いのか?」


「いえ、職業につかれましたのでミッション報酬でございます。300ptでしたら初回のみランダム召喚が可能ですがどういたしますか」


 3万円か召喚か非常に悩みどころだ。モンスターはランダムなためスライムやゴブリン、ドラゴンなど何が出るのか分からないらしい。

 ドラゴンを引けば主従契約がされるらしいし一攫千金じゃないのか?戦わせれば不労所得も夢じゃない。


「不労所得で!」


 タカイさんは呆れながらも召喚と分かってくれた様だ。タカイさんが手をかざすと妙な図形の中心に紅い光が浮かび上がり、あまりの眩しさに目を閉じる。


「ライオン…だよな?」

「ライオン…ですね」


 モンスターと聞いていたがどっからどう見ても普通のライオンだ。強いて言えば生まれたてなのに50cm程もあるのと、子供なのに立派な立て髪があるくらいか。

 タカイさんもわからないそうなので取り敢えず名前を考えることにした。やっぱりライオンといえばシ○バだよなー…


「お前の名前はレオだ!」


 安直だが、レオは気に入ってくれているようなのでよしとする。

 ここで、俺はある問題に気がついてしまったのだ…

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