第9話 起源人
バイト後、いつも通り家につきご飯を食べ風呂に入り部屋に戻る。
よし、行くか。
「おかえりなさいませ。橋本様」
「今日もどんどん狩るぞ!タカイさん!」
光の門をくぐりダンジョンに入る。もう慣れたものだ。
「今日は少し森に入ってみるか」
ゴブリンも落ち着けば難なく倒せそうなので少しずつ門から離れ、狩の範囲を広げることにした。
森に着くと木の影にゴブリンが3匹休憩しているのが分かった。
「あれは、寝てるのか?」
「どうやら、そのようですね」
タカイさんによるとゴブリンは通常、群れで寝る際見張りを立てる為、数の少なさと見張りがいない事からはぐれであると教えてくれた。
コッソリ近づき1匹の喉を掻き切る。同様に2匹目の喉も掻き切ろうとした時、1匹目のゴブリンの死体が倒れ2匹のゴブリンが目を覚ましてしまう。と同時に2匹目のゴブリンの喉をそのまま掻き切る。これで1対1だ。ファイアーは使えない。剣術スキルを信じるしかないか?
考えながらおれは逃げた。ゴブリンは追いかけてくる。かかった。
「ファイアー!」
今度は直撃させることができた。これぞ俺の究極奥義。逃げるは恥だがなんとやらってやつだ。担任のガッキーもよく言ってた。
今はタカイさんを見るのはやめておこう。
ついでに周辺のスライムを狩る。
<レベルが上がりました>
敏捷性2、腕力2、とそれぞれに割り振る。やはり逃げ足、いや、華麗な戦闘には速さが必要だ。森では剣術頼りになるため腕力、残り1ptは必要と感じた時に割り振ることにする。
スライムを倒しつつ再び森に入る。時々ヘビなど普通の生物もいた。一応狩ったが経験値にはなるがptにはならないらしい。
はぐれゴブリンと何度か遭遇したが時間が遅いせいか寝ていた為、音をたてないよう注意しながら喉を切った。
〈レベルが上がりました〉
タカイさんが以前森に入るなと言った意味がよくわかる。モンスターや動物とのエンカウント率が草原とは比にならない。モンスターに慣れた上、あいつらが寝ているから何とかなっているが昼間なら死んでいたかもしれない。そう考えると背筋がゾッとする。
「タカイさん、ステータスに新しい欄があるんだけど」
一度森を抜けてステータスをゆっくりいじることにした。
「おめでとうございます。それは職業選択ですね」
選択できる職業はゲームなどにあるものとほとんど同じで、初級のため剣士や格闘家などのよく見るものが多かった。1つを除いては。なんだ?これ。起源人?考えても分からないためタカイさんに聞く。
「
妙に少ないな。不安はあるが限定職業なら強いに決まってるよな。職業欄を開き起源人を選択する。
知らない天…いや、空だ。身体中の筋肉や骨に至るまで全てが痛い。職業を選択したところから記憶がない。
「おはようございます。憶測ではございますが職業が変化したことにより、身体が造り変わったのかと思われます。何分、特別な職業ですので正確ではございませんがご容赦を」
「あぁ、大丈夫。恐らくそれで合ってると思うから」
身体中が痛むためダンジョンを後にし部屋に戻る。
まだ12時か。ん?外明るくないか?
終わった…今日は休むか。
母さんはパートで朝は俺より早いため起こされることはない。楓も修学旅行中だしな。
そういえばステータス見てなかったな。
「え?」
自分の目を疑った。気絶する程の職業についたことにより俺のステータスは飛躍的に上昇する。そう思っていた。なんだよこれ!
【名前】 橋本 優輝
【年齢】 18
【職業】 起源人
【LV】 5
【HP】 80/80
【MP】 21/21
【筋力】 52
【耐久力】 35
【魔力】 2
【対魔力】 0
【敏捷性】 49
【SPT】 16
【スキル】 炎魔法 剣術
【所持pt】 327
「いや、何も変わってないじゃねー…」
ん?SPT16?今回のレベルアップで15増えている。もしかして獲得できる量が増えたのか?
他の職業を選択した場合のことは分からないが、この痛みは無駄ではないと分かりホッとした。
あとはっと…3万円。いや327pt。半月分をたった1日で?ダンジョン神ゲーじゃん!後で換金してもらおう。
一度ステータスについて思考を飛ばす。やはり16もあれば森で使える魔法をとろう。
俺はステータスを一通り変更し終えてから知らぬ間に眠りについていた。
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