第8話 日常

「おはよう、達也、奏」

「おせーぞー」

「おはよう、優輝」


 挨拶したと同時に達也に小言を言われた。

 早めにダンジョンを出たとはいえ、やはり命懸けの戦闘の後は疲れが抜けない。そう、何を言われようと命懸けの戦闘だ。


「今日から楓ちゃん修学旅行じゃね?」

「そっか楓ちゃんも僕の妹と同じ学年だったね」

「何で達也は楓の予定知ってるんだよ!」


 何で達也が知っているかはわからないが奏の妹と楓は同じ学年らしい。あまり面識はないらしいが。


「楓ちゃんのお小遣い大丈夫だったの?」

「新しく割のいいバイト初めてなんとかな」

「おい、ずりーぞ。俺にも教えろ」

 

 奏は心配してくれているが、達也は相変わらずだ。ダンジョンなんて教えるわけにもいかないので奏に嘘をつくのは心が痛むが父親が世話になっていた人のところで働いていると誤魔化した。


「だから今のバイト今月でやめると思う。今日店長に言おうと思ってるんだけど、達也はどうする?」


「俺はどっちみち小遣い稼ぎてーしもうちょい続けるわ」


「2人ともえらいね。でも達也は大学どうするの?受験まであんまり時間ないよ」


「それは言わねー約束じゃねーか!勉強教えてくれよ2人とも〜」


 俺は高校を卒業してすぐに働くつもりだが2人は大学に進学する。奏は成績優秀で常に学年TOP5には入っている。俺もそこまでではないが授業は真面目に受けている為ある程度の成績はキープしていた。


「いや俺はバイトあるから無理だわ」

「僕も塾があるからごめんね達也」

「裏切り者〜!!」

「席につけー、授業始めるぞー」


 達也が追いかけてくるところで丁度授業が始まった。


「…であるからして…おい、起きろ川上!!お前はせめて点数を取ってから寝ろ!少しは長谷川を見習ったらどうなんだ!」


 クラスの皆んながあちこちでクスクス笑っている。そうしているうちに予鈴がなる。


「じゃあ皆んな気をつけて帰ってね。特に川上君は帰り道まで寝ちゃだめだよ」


 古文の村田にチクられてるじゃん。

 うちのクラスの担任、新垣あらがきさとみはガッキーの愛称で親しまれている。


「じゃあなー、今日もバイトだから俺こっちだわ」


 こうして、いつも通りの日常がおわる。

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