第7話 初戦闘、そして換金
〈レベルが上がりました〉
「レベルも上がったし休憩にしよっか」
今日は達也と奏と遊ぶと言い、朝からダンジョンに来ている。前回同様また窓から部屋に入ることとなった。
こっそり持ってきていたおにぎりを食べながら、レベルが上がったためスキルを取得するか能力をあげるか考える。
どれにしようか。危なくなったら逃げれるように敏捷性はあげたい。それとやっぱり魔法は楽しいよね。魔力に振ろう。
あとは…これにしよう。
前回同様、魔力、敏捷性、スキルの獲得にすることにした。
「これでよしっと」
スライムをスラスラ倒せる。スライムだけに…
「高橋様、剣術を取られたのですね。良い選択です」
「せっかくナイフもらったしね」
剣術をとってからナイフが自然と手に馴染む。Tシャツを着ていることを意識しないくらい自然だ。それに以前よりもスライムを刺す時の力が必要ない。
タカイさんも言っていたが剣術をとって正解なんじゃないか?
ん?なんだあいつ。少し離れた森の方に小さく動く影がある。行くか?いや、危険だよな。やめておこう。
「グキャッ」
「うわぁぁぁ」
俺は今、ゴブリンに追いかけられている。好奇心にはやはり勝てない。
距離はすぐに離れていき、ゴブリンは止まったがこちらを警戒しており背を向けない。
「高橋様、ゴブリンの身体能力は個体差はありますが小学生と同程度ですので落ち着いて戦えば勝てます」
「個体差ってなんだよ!強いのいたらどうすんだよ」
びびりながらもゴブリンの方に近づく
「ファイアー!ファイアー!ファイアー!」
焦って狙いが定まらないが3発目がゴブリンの足を
「よし、正々堂々ナイフで勝負だ」
「橋本様…正々堂々とは…」
タカイさんが何か言っているが聞こえないふりをした。
ゴブリンはその場で太めの木の棒を振り回し応戦してきたが足の傷のせいか徐々に弱り動きが悪くなっていたところにナイフでトドメを刺した。不思議と人型モンスターを倒すことに抵抗は感じなかった。
「ゴブリンの血って緑なんだ」
ゴブリンもスライムのように崩れてダンジョンに吸い込まれ木の棒を残して消えてしまった。
「疲れたぁぁあ!!!」
タカイさんが何と言おうと俺は初めて自分の命をとられるかもしれない相手と戦ったためかなり疲れていた。
光の扉をくぐり石畳の部屋に戻る。
「お疲れ様です。本日の獲得ptは56ptです。
合計で109ptです。」
「え?少なくない?俺死闘繰り広げたんだけど!」
ゴブリンは3ptらしい。もうやだ。だが、100pt貯まった。楓のためなら俺は頑張れる。まだまだやれる。ゴブリンだってもっと倒してやる。
「タカイさん100pt換金お願い」
「かしこまりました。現在1$=107円ですので手数料を引かせて頂きまして10500円です。どうぞお受け取り下さい」
「え?手数料とるの?神の使いなのに?え?」
「商人ですので」
諦めて10500円を受け取り、ダンジョンを後にした。
「楓〜」
「どうしたの、お兄ちゃん?」
「明日から修学旅行だろ。これお小遣いな」
「え?1万円もいいの!無理してない?」
楓は心配そうに顔を見てくる。
「最近割のいいバイト見つけたから心配しなくていいよ。その代わり楽しんでくるんだぞ」
「ありがとう、お兄ちゃん!」
楓は満面の笑みで抱きついてきた。この笑顔を見れるならゴブリンでもなんでも狩りつくしてやる。そう心に決めた。
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