第1話 ミステリー商人、それからダンジョン?

「なんだこれ」


 押し入れのふすまを開けると、見たこともない扉があった。

 

 いやいやいや、可笑おかしいだろ。何だよこれ。てか俺の荷物どこ?


「優輝ー、ご飯できたよー」


気にはなったが、思考を一時中断し俺はそれを見なかったことにし、食卓へ向かうことにした。


「母さん、今日の晩御飯なにー」

「今日は特売でお肉が安かったから久しぶりの牛丼よ」

「やったぁ!おにくおにく〜♪」

「「「いただきます」」」


 うちでは特売の時以外牛肉を買うことがないため牛丼が高級料理扱いである。


「やっぱり牛肉が1番だよねっ」

「楓は本当に牛肉が好きだな」

「だって肉だよ、肉!滅多めったに食べれないんだもん!」

「そうだな、肉だもんな」


 俺は他の家庭のことを考えると申し訳ない気持ちになるが、笑顔で返事する。


「優輝、ご飯食べ終わったら先にお風呂入っちゃってね」

「分かった母さん、ごちそうさま!」


 ご飯を食べ終え、母さんの言う通りに風呂に入る。

 シャワーを浴びながら先程の扉のことを思い出す。

 あれは何だったんだ?見間違えか?


「風呂あがったよ」

「はーい」


 風呂を上がったことを楓に伝え、部屋に戻るり襖を開ける。

 やはり、それはあった。見間違えではなかった。

 考えていても仕方がないためえず手に持っていたタオルを投げつけてみるが反応はない。

 勇気を出し扉を開けると石畳いしだたみが敷き詰められた何もない部屋がありフードを被った人が立っていた。


「うわっ」


 びびって慌てて扉を閉めようとする。


「ちょっと待ってください!」


 中の人物がそう言いながら扉を閉めるのを止めようとするが、構わず力一杯閉めようとする。

 当然だろ?怖すぎるんだから。

 しかし、相手の方が力が強かったようで、扉を開けられてしまった。


「よかった、完全に閉められてしまうとこちらからは開けられないので。」

「...」


 黙っているとその人は話し出した。


「あ、すみません。私、ミステリー商店のタカイと申します。一応、神様の使いをさせて頂いております。以後お見知り置きを。」

「どうも、橋本優輝です。」


 俺はビビリながらも反射的に挨拶をしてしまった。

 フードを脱いだその人物は若い男性であった。

 その後のタカイさんの話によると、ここはダンジョンと呼ばれるものでこれから世界中にダンジョンは出現されるらしい。

 その突発的な厄災に備え、ミステリー商店はG20である20ヶ国に神様によって贈られた救済措置のものだそうだ。

 普段であれば宗教の勧誘か何かだと考えるが、扉を見た直後、動揺していたこともあり俺はタカイさんの言うことを信じることにした。


「これから、よろしくお願いしますね。末長いお付き合いになることをお祈りしております。」

「はい…お願いします。」


こうして俺は、ダンジョンとミステリー商人と出会った。

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