第3話 両親の変化

それから一ヶ月が過ぎ


「あの!」


「はい」



私の前に男子生徒が現れ呼び止められた。



「お、お話があります!」

「はい」

「少しお時間良いですか?」

「はい」



そして、私は告白された。



まさかと思ったけど ――――




「お願いします!」

「えっと……私……性格悪いから友達止まりか嫌になると思います」

「付き合ってみないと分からないと思います!」

「幼なじみいるし色気もないし結構サバサバで」

「友達からで良いです!」




私は上手く言って断ろうとするも、彼と付き合ってみることにしたんだけど……


結局別れを告げられてしまった。



「だから言ったじゃん……」





幼なじみがいると


私はみんなと同じ接し方をしてしまう


ハッキリと言っちゃうから


相手を傷付けちゃう事もあるかもしれない


だから恋愛は向いていないだろうし


面倒くさいし


女子力もないし


無理な気がする


素の自分を理解してくれる人じゃなきゃ


多分


恋愛は出来ない




ある日の事。



私は学校帰りゲーセンに寄った。



「高校に入って……みんなバラバラになったよね」




劉史は、男友達と遊ぶ事が増えた。


友美は、バイト始めたし


亘希は、元々、社交的な奴だから男女問わず友達が多い




「私だけ……変わってない……つまんない人生送ってるなぁ~」



≪つーか落ち着かない毎日だし≫




私はゲーセンで遊びまくる。




「私もバイトしようかなぁ~?」




PM 8:00



「うわっ!ヤバッ! ゲーセンに行って街ブラついて、再びゲーセンに入って時間気にせずに夢中になりすぎた!」




私は足早に帰り始める、その途中 ―――




「ねえ、彼女、こんな時間に何してんの?」

「両親、心配してるんじゃない?」



二人の男の人に声をかけられた。



「今帰ってる所なんで失礼します」


「そうなんだ! このまま遊びに行こうよ」

「無理です!」



肩を抱き寄せられる。



「きゃあ、な、何?」

「良いじゃん! お金なら全部出すし」

「結構です! ……それとも……」



グイッと相手の手を捻り返す。



「って!」

「私は、その辺の女子高生じゃないから、余りしつこいと痛い目に遭いますよ?」


「ふざけんなっ! せっかく、声かけてやったのに!」

「せっかく? そういうナンパいらないから!女子高生ナンパする暇あったら、その腐った脳みそ叩き直しなよ!」


「ムカつく!」

「お前みたいな女、こっちからお断りだっつーの!」


「だったら最初から声かけんなっつーの! つーかさ女子高生ナンパする位だし、どうせ体目的なんでしょう? 誰でも良いみたいなのって一番タチ悪いよね?」


「ただの暇人だろう? お兄さん達」


ビクッ

私の背後から男の人の声がし、驚く中、私は、捻り返した手をゆっくりと離す。



「あ?」

「何だと?」

「つーかさ……いい加減失せろよ! お兄さん方」



ドキン



「あんたらの暇潰しに付き合ってる時間ねーんだよ!」



私の前に相手の間に割って入る様に、相手を押し退ける人影。



「彼女、俺の連れ!」

「えっ?」と、私は小声で言う。

「嘘ついてんじゃねーぞ!」

「一緒にいなかったじゃねーかよ!」


「彼女と別れた後だったからじゃねーの? 気になって心配で戻ってきたんだよねー? そうしたら案の定ナンパされてんじゃん?」



「………………」



グイッと肩を抱き寄せられた。



ドキッ

胸が大きく跳ねた。



「だから他当たってよ!」



彼等は渋々、去った。




「何してんだ? お前」

「えっ?」



ドキッ

振り向くと至近距離にある顔に胸が大きく跳ねた。



≪だ、誰?≫

≪えっ!? こんなイケメンの知り合いにいたっけ?≫



「………………」



「誰?って顔してるし」

「だ、だって……あんたみたいなイケメンの知り合い……」

「あー眼鏡かけてねぇからな」

「えっ!? 眼鏡!?」



男の子は一旦離れると眼鏡をかけた。



「えっ? えええっ!? 岾下君っ!?」

「正解」



そして、すぐ眼鏡を外した。




ドキッ

胸が大きく跳ねる。



≪ヤバイ……イケメン……≫



顔を反らす私。



「ともかく帰れ! それとも送ろうか?」

「だ、だ、大丈夫です! 誤解されたらかなわないし……ごめん……ありがとう……それじゃ……」



私は足早に走り去った。




「分かり易っ! 幼なじみも男子いるのに……あの反応ってあり得ねーだろ?」




私は岾下君と別れるが、私の心臓はうるさいくらいドキドキしていた。



≪ヤバイ……まだ胸がドキドキしてる≫




そして、しばらくして ―――



「麻魅じゃん!」

「亘希?」

「今、帰ってんの?」

「うん。一人でゲーセンに行って街ブラついてたら、あっという間に時間過ぎちゃって……」


「一人って……寂しっ!」

「仕方ないじゃん! 劉史も友美も亘希も色々と忙しくなって別行動だし。こうやって会えるのが奇跡でしょう?」


「それはあるな。高校に入れば、また別の交流が増えるから、別の友情広がるし。出会いも様々な訳だし。お前も友達いるんだし出掛けたら?」


「うん……そうだね……でもバイトしようかな?っても考えるけど……」


「バイト、良いんじゃねーの?」



私達は、色々話をしながら帰るのだった。



「ただいま……」



家に帰宅。


だけど、誰もいるわけがない。

共働きだからだ。


私が保育園に入り始めた時から共働きの家は、おばあちゃんから迎えに来てもらい、両親が帰って来る頃は、既に眠っている私。


あれから月日が流れ、おばあちゃんも他界し、一人でいる時間が当たり前のようになっているけど、私が中学になってから両親は学校の行事なんて一切参加した事がない。


それに最近、気付いた事がある。


両親が色気づいてる気がするのだ。


共働きとはいえ、両親は仕事が終わって真っ直ぐ帰ってきている様子はない。


帰りは夜も更けた頃だ。


家の母親は、ただのパート。

父親はサラリーマン。

ごくごく普通の家庭だ。


だけど、帰りが遅くなり夕飯も一緒に食べる事もなくなっていた。


勿論、朝も顔を合わせる事は、ほとんどない。


いつも、テーブルの上にお金がおいてある状況だ。


正直、家族はバラバラで、きっと、お互い浮気している感じとしか思えないけど……


顔合わせる事が少ない分、久しぶりに顔を見る両親は雰囲気が、違うのだから ―――












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