逃げ出した

雨が降ったあの日。

私は現実を見ようとしなかった。


「明日、一緒に学校に行こうね。迎えに行くから。」


そうあの子がそう言った日


「あぁ、学校行かなくちゃ。」って思った。


制服も用意して、教科書も鞄に入れて。

次の日の準備は万全だったはずなのに


「来ないで。」


私はあの子を拒んだ。

特に意味なんてない。

無理だった。

何もしたくなくなった。

家にもいたくなかった。

死にたい。


そんなことばっかり言って、人に迷惑がかかってることぐらい自分でも知ってる。

それでも

私なんてこの世にいたって仕方ないって勝手に思って。

部屋からでるのもやめた。


―――しかし、この行動が、自分の未来を壊していることに、私はなんら気づいてはいなかった。



「海」

「なに、お母さん。」

「たまには学校いかなくていいの?空ちゃんに会ってきたら?」

「・・・・いかない」

「あんたね、いつも遊びにきてくれるんだから顔くらいみせてあげないと」

「・・・・もう、いい。」


私があの子を拒んだ日から、あの子からのメールはばっつり切れた。

どうせ私は裏切り者だと思われてる。

だから別にどうでもいい。

誰がどうなろうと。



・・・・うそつき。

本当はわかってる。

自分が現実から逃げてることくらい。

本当は、すごくあの子が大切なのに。


逃げ出した。

もう、戻れない。

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