語り合い

夢をかたり合うのが、私達は好きだった。


「いいなぁ、ひなたは。夢があって。」

「そんなことないわよ。空にだってあるじゃない。」


私は空と夢を語り合うのが好きだ。

空は幼なじみで親友で。

人の夢を馬鹿にしない。


「私はひなたの夢、似合うと思う!」

「ほんとに?」

「ほんとに!!」


私の夢は、料理人になること。

イタリアンが大好きだから、イタリアンの料理人になりたい。

そしていつかお店を出して、一番に空に来てもらうんだ。


「空は?空の夢は?」


私は空に尋ねた。

空は笑う。


「なりたいものがありすぎて困ってるよ。」

「え!?」


「夢はあるけど全部現実離れしてるから、だから、ないのと同じなのかな・・・・。」


空がそんな後ろ向きな発言をしたのが意外だった。

いつもなら、もっと違うこと言うのに。


「叶うよ。空の夢。」

「え?」

「教えて。私、聞きたいわ。」


私は空の夢は絶対叶うと信じている。

だって空だって私の夢を聞いてくれた。

私は空を信じてあげなくちゃ。


「私、歌を歌う人になりたい。」

「うん。」

「それからね、本を書く人にもなりたい。」

「うん。」

「学校の先生にもなりたい。」

「うん。」

「舞台に出る人、声優とか、演技をする人にもなりたい。」


なれるよ。

空ならなれる。

根拠はわからないけど、そんな気がした。


「叶うよ。歌手の人だって本出してるし、声優だっては歌手できるし、先生もできるよ!

だから大丈夫に決まってる!」


私たちは、語り合うのが好きだ。

そして、私たちはそれぞれに夢に向かって歩み始めている。


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