親しい友

「親友」っていうのはお互いに「親友」とはいい合わない。

知り合いの子にあの子は誰?って聞かれた時は、「親友」だよっていうけど。


私達は言い合わない。

おしゃべりも沈黙もなんのその。

言葉を交わさなくても大体わかるんだ。


「ひなた、とっておきの場所ってこんなに遠いの?」

「そうだよ。まぁまぁ、騙されたと思ってついてきなって。」


今日は私の誕生日。

親友のひなたがとっておきの場所に連れていってくれると言ったのだが、肝心なとっておきの場所がどこだかわからない。


ひなたは上機嫌で私を見た。

ひなたがこんなにも嬉しそうなのははじめてだ。

・・・私の誕生日なのに。


「ひなた、今日機嫌いいね。」

「あったりまえじゃん。空の誕生日なんだから。」


電車を乗り継いで、私達は山のふもとの駅で降りた。

もうすぐだといいながら、ひなたは山をのぼる。

するとそこには一軒の家があった。


「・・・レストラン・・・?」


家の前には「森のレストラン」とかかれた看板がある。


「ほら、空。入って!!」


ひなたにそう促されて私はレストランのドアに手をかける。

ドアを押すとレストランには私達の他に客がいない。

「こっちだよ!」とひなたに手招きをされるところには、美味しそうなイタリアンがおいてあった。


「空、誕生日おめでとう!!」


ひなたにそう言われて、私の席の椅子をひいてくれ、私に座るように促す。

とっておきの場所ってここ??


「空、ずっと美味しいイタリアンが食べたいって言ってたじゃない。

私からの誕生日プレゼントよ。」


親友ってすごい。

何も言わずとも、私の喜ぶことを知っている。


「ありがとう、ひなた」


私達は森のレストランで食事を堪能し私の誕生日は今年も素敵な一日で終った。

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