心は、霧の中

霧の中に、君はいた。


何も見えない。

誰もいない。

そんな孤独な霧の中。


けれど、私はわかっているんだ。

霧は必ずいつかはなくなる。

いつかは霧が消えて、視界が広がる時がくる。

そんなときが、いつかはくるって。


だから、手を伸ばして欲しい。

本当はすごく近くにいるはずなのに、霧が邪魔をする。


「待って、海!このままだと離れ離れになる。」


霧の中をどんどん進んでいく君には、私の声が聞こえていない。


君は、何を思って霧な中を進んでいくのだろう。

霧の中に、何があるんだろう。


君の心は、どこにある?

わからないんだ。

救いたいと思っても、力になりたいと思っても。

君の心がここにないから、君が何がしたいのか何を思っているのかわからないから、力になれないまま君とお別れをしそうになる。


霧がはれれば見えるのに。


今すぐ君を追いかけて、君の隣を歩きたいのに、


霧が、はれないんだ。


「空、もうあの子のことおいかけるのやめなよ。」

「霧の中は危ないよ!」

「空ちゃんまでいっちゃったら、私たちはどうするの」


私にはこうして引き止めてくれる仲間がいる。

君には、いるの?


「みんなでおいかけよう。」


一人じゃないよ。

だから、一緒に行こうよ。


「そう言うと思った。」

「仕方ないなぁ。」

「空がそう思うなら行くしかないね!」

「よし、行くよ!!」


本当はみんなわかってるし、みんな思ってる。

君の隣を歩きたいって。

だから私たちは、霧の中を歩いていった君をおいかけるね。


私たちは霧の中を進み君を見つけた。

君は大粒の涙を流して私を抱く。


恐さ、不安、孤独


仲間がいるだけで、心はあったかくなるから。

君も一緒に歩こう。

晴れているところへと。

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