第14話 仲直り
あれから一ヶ月、稔兄と真理絵さんの関係は変わらないまま。
私は、このまま終わらせたくなくて 、食事中な私達は、テーブルを囲んでいる中、稔兄を何度も見る。
「何だ? さっきから人の事をジロジロと」
稔兄は気になっていたのか訪ねてきた。
「仲直り」
ピクッ
稔兄の箸を持つ手が止まった。
「しないの?」
「………………」
「黙ってないで何か言いなよ!」
「うるさいっ!」
ムカッ カチッ
稔兄の一言に腹が立ち箸を置いた。
「男のくせに何なの? 信じているくせに何、意地張ってる訳? 男だったら間違い認めてさー謝れっつーの!」
「お前には関係ない!」
「ありますぅーーっ! 私がここにいられるのは隼人と真理絵さんが協力してくれてるからなんでしょう!?」
「………………」
「仲直りしないなら二人共、絶対に協力してくれないんじゃないの? 私、今更、家には帰らないからね!」
「だったら俺が出て行く迄だ!」
「はあぁぁぁっ!? 意地っ張りっ! もっと素直になりなよっ! このままで良いわけ? 好きだったら自分を曝け出しなよ! 自分の弱味とか見せて向き合いなよ!」
「………………」
「このまま…さよならなんて…私、許さないからっ! キチンと話し合って! 後になって気付いて後悔して欲しくないの! 逃げてたら何も変わらないじゃん!幸せは一握りしかないんだよ!」
「………………」
「だから…お願い…お兄ちゃん…真理絵さんとお兄ちゃんが別れたら私……隼人と仲良く出来ないよ……」
「悠羽……」
「二人がいるから私、隼人と出逢えたんだよ。隼人はみんなの憧れの存在なんだよ。私みたいな一般の女の子を相手にするわけないんだからね!」
「………………」
「特別な想いがあるとかないとか…そういうの関係なくて…私は隼人を一人の人間として仲良くしているんだから…芸能人だって隼人は隼人だし特別な扱いしたら隼人は多分嫌がるだろうし…」
「………………」
「ご馳走さまでした!」
私は席を立ち自分の部屋に行った。
その日の夜。
「コンビニ行って来る」
「今から? 危ないだろう!?」
「すぐ戻る!」
「駄目だ!」
「………………」
そこへ ―――
「稔紀」
真理絵さんが部屋に訪れた。
「真理絵……」
稔兄が私に
「お前、呼び出したのか?」と、小声で尋ねた。
私は首を左右に振った。
「ごめんなさい……このままじゃ私もどうして良いのか分からないから…」
「ほらっ! だから言ったじゃん!」
私は稔兄に小声で言った。
「真理絵さん、私ちょっとコンビニに行って来ます。ちなみに隼人は…?」
「あの子ならまだ帰ってないわよ。もう少ししたら帰って来るとは思うけど」
「そっか…分かりました。取り合えず行って来ます」
「ええ……ごめんね、悠羽ちゃん。女の子一人で行かせるのは近所とはいえ心配だし危険だから私が日を改めた方が良いんだけど……」
「いいえ。タイミング逃したらいけないから」
「…悠羽ちゃん…」
「だって人生は色々だからタイミング逃したら後悔しか残らないと思う。私、二人にはずっと一緒にいて欲しいから。二人がいるから私…隼人に出逢えたと思うので……それにここにいられるのも二人が稔兄に協力してくれてるから」
私は部屋を後に出掛けた。
「………………」
「稔紀……私…稔紀の事が好きなのよ。ううん愛しているわ。だけど、このままじゃ分からなくなるし駄目になる。白黒ハッキリとさせたくて」
「それは別れる覚悟で言っているのか?」
「場合に寄っては検討せざるを得ないわ」
「………………」
「ねえ、稔紀。今のあなたの想いを聞かせて。本音でぶつかって欲しいの! あなたは私と別れたいの? ……それとも…」
「………………」
「ねえ、稔紀……サヨナラして良いの? 稔紀私の事……嫌いになった?」
「それは……」
「………………」
「それはって……どう取れば良いのか分からない……分かったわ……だったら別れましょう? いいえ別れてあげるわ。その方が好都合でしょう?別れる事が辛いなら私から言わせてもらうわ……サヨナラ……稔紀……」
「真理絵っ!」
グイッと真理絵の腕を掴み呼び止め、背後から抱きしめた。
「そんな事……言うなよ…俺だってお前を愛しているんだ」
向き合う二人。
「仲直りしたくて、声を掛けたくて何度もタイミングばかり見つけようとして、結局、そのままで俺はお前と別れる気なんて全然ない」
「稔紀……だったら……」
「悪かった……許して欲しい……」
頭を下げる稔紀。
真理絵は稔紀の頬に触れる。
「…稔紀…顔をあげて…」
ゆっくり顔をあげると稔紀に真理絵はキスをした。
見つめ合う二人。
再びキスを交わし何度も何度も角度を変えながら深いキスを交わす。
抱きしめ合う二人。
しばらくして帰宅する私。
二人の事が気になって仕方がない。
仲直り出来たのだろうか?
しかし二人の姿が部屋にない。
「稔兄の部屋かな?」
私は稔兄の部屋に向かった。
ゆっくりとドアを開けると隙間から二人の姿が見えた。
ドアを閉める中 ―――
「真理絵……愛してる」
「稔紀……私もよ」
そういう会話が聞こえてきたかと思ったら二人はキスをした。
≪良かった……仲直りしたみたい≫
私は再び外出し近くの公園に行く事にした。
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