第12話 世間~寂しい時間を埋めるように

人は何故 恋をする?


人は何故 恋をする度にキレイになる?


人は何故 恋をしている時は輝いて見える?


恋愛は難しいけど


でも


自分を磨く


ひとつの魔法(ちから)だから ―――




「隼人君」

「あれ? 君は確か……」

「aya。 ねえ一緒に現場(ロケ)先に行かない?」

「えっ?」

「私、隼人君と共演する事になって」

「あー、そうなんだね」




俺の住んでるマンションの建物の前に、彼女はマネージャーと思われる人の車の中で待機していたと思われる。


彼女は同じ事務所であり後輩にあたる。


正直、彼女は苦手だ。


彼女の噂は良い噂を聞かない。


芸能人との恋愛報道が絶えないのだ。




そして、これは事の始まりに過ぎず、彼女は俺の前に現れて、現場(ロケ)地に行く事が増えていき、一部で俺が彼女と付き合っていると迷惑報道が流れ始めた。



その後、彼女 aya さんが現れ、隼人と私の時間が嘘みたいになくなっていった。


いつもの生活環境がこんなに変わるもの?


私はこんなに淋しいと思った事はなかった。




「真理絵さん」

「あら? 悠羽ちゃん」

「すみません…隼人は……?」


「あの子、朝早くから夜遅くまで撮影が続いているみたいで私も最近、全くといって良い程会えてないの」


「……そう…ですか……」

「何か伝言があるなら伝えるけど?」

「…いいえ……大丈夫です…」

「そう?」

「はい……部屋に戻ります」

「ええ……」



真理絵さんも会えない程、多忙?


実際、同じ学校でも今は会えない現状だ。



「…隼人に…逢いたい……」




~ 加賀 隼人 side ~



夜中3時頃、帰宅する俺。


本来なら、まだ早く終わって帰れるのに、今、共演している彼女の我が儘から毎日毎晩、時間を押しての撮影を終わらせるのだ。



正直、スタッフもクタクタな毎日。



その時、ふとテーブルの上にあるメモ書きに気付く。



姉貴からだ。



「………………」



俺は夜中、隣の部屋に訪れた。


ある意味、不法侵入になるけど目的があったからだ。


メモ書きの内容は悠羽の事が書いてあったからだ。



「電気……」



悠羽の部屋の前に行くと、電気がついていた、というより灯りが漏れていたが正しい表現だろうか?



カチャ

部屋のドアを開ける。



「………………」


「……寝落ちかよ……」



俺は笑みがこぼれた。


俺の視界に入ってきたのは彼女・悠羽の天使のような寝顔だ。


テーブルに顔を横にし、ドア側に寝顔が向いていた。


俺は一目見て自分の部屋に戻ろうとドアに手をかけた。



「…隼…人…?」



声がし振り返ると悠羽がぼんやりと見つめている。


「悠羽?」

「……おかえり…隼人…」



悠羽は微かに微笑む。



「…ただいま…」



俺は悠羽が可愛いと思った。


久しぶりに見る悠羽と会話している俺は悠羽に触れたくて、疲れも一気に吹き飛ぶような幸せを感じた瞬間だった。



「…明日も…いや…今日か……お仕事早いんでしょう?」

「いや…休み」

「そっか…じゃあ早く自分の部屋に行って休……」



俺は悠羽を抱きしめた。



「隼人…?」

「お前の顔見たら寝るの勿体ないかも」

「…えっ?」



俺は抱きしめていた体を離し悠羽にキスをした。

悠羽は驚いている。



「悪い……最近忙しくて悠羽の顔見たらキスしたくなった」

「付き合ってもいないのに?」

「でも、俺の隣は、お前専用だけど?」

「また、そうやって」



悠羽は笑う。




こんな会話をする俺達だけど、俺は彼女が好きだと言える。




忙しくて辛い中


会えていた時間が


一気になくなって


ここまで


つまらないと思った事はなかった




だけど


本当の気持ちに気付いた時間だった




でも


本気で告白した所で


きっと彼女は


聞き流すようにするのだろうと ―――




告白するには


タイミングと雰囲気で


彼女に伝えないと


俺の本気の想いは


伝わらない気がした





「それじゃ…俺…部屋に…」




立ち上がる俺の洋服を悠羽は掴んだ。



「…悠羽?」

「…一緒に……いたい……」

「えっ!?」



心から可愛いと思った。



「あっ…えっと……ごめん……」



俺は悠羽にキスをした。


悠羽を立たせると、お姫さま抱っこをし、彼女をベッドに乗せた。


悠羽に優しく体重を優しく掛けるように乗ると再びキスをした。



「一緒に寝る?」

「…うん…」

「素直に可愛いすぎだから」



悠羽は俺に抱きつき、俺はもう一度キスをした。


今までにない優しいキスを ――――







そんな私も


隼人の優しさと行動に


ドキドキと加速する中


一緒にいられる時間が


すごく幸せで仕方がなかった





私達は


付き合っているわけではないけど


寂しかった時間を埋めるように


初めて同じ布団で眠った



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