第8話 告白

ある日の事だった。



「悠羽ちゃーん」



手招きする隼人。



「何?」



隼人の所に歩みよる。




「廊下で人呼んでる」

「廊下? 分かった」



私は廊下に出る。




「あの……」



廊下に出ると背を向けて立っている人影に声をかけた。


振り返る人影。


男子生徒だ。




「あっ! すみません! 今日の放課後、屋上に来て下さい!」

「えっ?」



もう一度、聞き返す事もなく、男子生徒は足早に私の前から走り去った。




「………………」


「今……確か屋上って言ったよね? 」




そこへ ――――




「告白だろう?」



ビクッ

突然、声がし驚く私。




振り返ると、ドアに片側だけ寄りかかるように重心をおき腕を組んで凭れかかるように立っている隼人の姿。



ドキン

胸が高鳴る私。




元々カッコイイ為、しかも芸能人である隼人が、そこに立っているだけで、まるで一瞬、時が止まったような、ドラマのワンシーンのような錯覚を起こすかのように様になりすぎて更にカッコ良く見えてしまう。



「ありきたりだしな。呼び出して下さいっつーの? 悠羽ちゃんにも春が来るのかな?」


「そんなの決まった訳じゃないし!」

「いやいや、決まってるでしょう? だって悠羽は可愛いから」



ドキッ

胸が大きく跳ねた。



ドアから離れると私に歩み寄り、頭をポンポンとした。


その不意打ちの行動に、更に胸が大きく跳ねる。




ズル過ぎる!


相手が相手だ。


自分がドラマの女優さんになった気分になってしまう。



「俺が選んだ女だから」


「!!!!」




かぁぁぁっと一気に上から下まで体が熱くなるのが分かった。



「おっ♪ ナイスリアクション!」




明らかに楽しんでるとしか思えない。




「は、隼人! ズル過ぎるっ!」

「何が?」

「仕事を武器に色々と仕掛けるから!」

「仕事? 仕掛ける? いやいや、俺は何もしてないし!」


「じゃあ無意識にしてるの? 計算じゃないわけ?」


「計算する理由が分からない。素直に行動移すだけ」


「計算じゃない所がこわい……」

「えっ? どうしたの? 悠羽」

「それは世の中の女の子が胸キュンするし、ハート(心)持ってかれるはずだね? 私も騙されそうになる!」

「悠羽?」



私は教室に戻る。



「悠羽ちゃ~ん?」





そして、その日の放課後。



私は屋上に行き、既に男子生徒がいて私に気付く。



「ごめん」

「いいえ」

「俺、希佐良 友志(きさら ゆうし)って言うんだけど、今、彼氏とか好きな人いたりする?」

「いいえ。男の子と縁がなくて」

「そう? 君、可愛いしモテ系な気がするんだけど」


「いいえ。全く」

「そうなんだ。じゃあ、単刀直入に。俺、君の事が好きなんだ! 付き合って欲しい!」

「えっ!?」

「ゆっくりで良いから」



私は迷う中、1こ上の先輩と付き合ってみる事にした。









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