第6話 マスコミ
由希君の紹介でバイトをする事になった私。
アクセサリーや小物を扱う御店であり、芸能人が出入りしている事を知った。
店長の仙道 奈津季(てんどう なつき)さん。
凄く良くしてくれて、由希君はお姉さんが奈津季さんと友達らしく顔馴染みとの事だった。
ある日のご飯中の事だった。
「悠羽、バイトの方はどうだ?」
「うん、凄く楽しいよ!」
「そうか、それなら良かった」
「心配しなくても大丈夫! 隼人の友達の紹介だから安心して働ける所だよ」
「ああ、俺も安心した」
「ねえ、ところでお兄ちゃん。結婚は考えてないの?」
「えっ!? 結婚!?」
「うん、真理絵さん美人だし、付き合ってどれくらいになるの?」
「1年過ぎて2年目」
「そうか……羨ましいなぁ~」
「えっ? お前も、そういう相手見付ければ良いだろう?」
「出会いないし」
「じゃあ隼人君の専属彼女? いや、直属か? 結婚前提彼女か?」
「えっ!? 専属とか直属とか……お互い選ぶ権利あるし」
「悠羽、お前がこから通う事が出来たのは、隼人君の後押しのお蔭なんだ」
「えっ?」
「お前がここから通いたいと言った時、俺も本当は通わせたいと思っていたんだが、親代わりになるし不安と何かあったらって自信なくて、そうしたら隼人君が協力しますって言ってくれたんだよ」
「隼人が言ってくれてたんだ……」
「ああ、隼人君、業界の人間だし、やっぱり色々あるし、恋愛に関しては、ありのままの自分を好きになってくれる人が良いんだと思う」
「まあプライベートは自分の時間が必要だからね。全てにおいて受け入れてくれる人が良いんだろうね」
ある日の朝の事。
「すみませーん」
マンションの建物前、マスコミらしき人が私に声をかけてきた。
「あの、ここの住人の方ですか?」
「そうですけど」
「あの、少しお時間……」
「無理です! 失礼します!」
私は走り去った。
そして、学校の正門でも ―――
「ここでも?」
私は足を止める。
「おはよう、悠羽ちゃん」
「あっ! おはよう由希君。ねえ、このマスコミ何の騒ぎ?」
「今朝のニュース見てない感じ?」
「ニュース? 見てない」
「じゃあ無理もないか。隼人の事がニュースであって」
「何? アイツ何かやらかしたの?」
「それが隼人に付き合っている女優さんがいるって報道されて」
「へぇー、業界じゃ、そんなの当たり前でしょう?」
「それが、今回に関しては相手のラブラブから始まった騒動が報道されて」
「あー、それはキツイね」
「付き合っているとか一切ないから、すっげー迷惑がってたアイツ」
「で? その超本人は?」
「自宅待機」
「そうか」
私は避けて通れないマスコミの前に向かう。
「あっ! ねえ、君達ちょっと良いかな?」
「………………」
私はマイクを取り上げた。
「帰って下さーーい! 他の生徒の迷惑になりまーーす! 撤収、撤収、撤収して下さーーい! 誰の許可を取って撮影されてるんですかぁーーっ!?」
「ちょっとっ! 君っ! マイクを返しなさいっ!」
スッ
マイクを取り返そうとするマスコミの人に対してマイクを遠ざける。
「やだ! みんな連れて帰るならお返しします!」
「君ねぇー、仕事を妨害してるよ! 俺達は仕事なんだから」
「人の迷惑になる事が仕事なんですか? 通学中の生徒や先生がいるのに迷惑です!」
「す、すみません! ほら、行くよ!」
私は由希君にマスコミから引き離される。
「相手が悪いから無視、無視。根掘り葉掘り聞かれるから相手しないの! 週刊誌やマスコミは仕事の為なら、あの手この手使うから」
「だってさ、マンションの前にもいたからウザくて」
「仕方ないよ。とにかく相手しないのが一番だから」
今日は一日中、朝と変わらず騒がしく相変わらずマンションの建物前にも報道陣がいて適当な理由をつけ一先ず無視した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます