第73話 説教
桜の森を包み込んだ光は、やがて
その中には両手で
「ったく、おせえんだよ、ウツロ……!」
「龍子、よかった……」
「ウツロさん、姉さん、ご無事でなによりです……!」
「いまごろ目覚めてんじゃねえぜ、バカな弟がよ……」
彼らは
いっぽう、面白くないのは
「……バカな、こんなことが……信じる力だと……? なにが、愛だ……そんなものが、そんなものがあるのなら……なぜ、天は……わしには、ほほ
彼は
「それですよ、お師匠様」
「……」
「なぜ、なぜ、なぜ……! あなたはご自身の
「だ……」
「自分に向き合わず、いや……自分を認めることすらせず、すべてにおいて他人任せ。腹が立てば
「だ、だ、だ……」
「お師匠さま、あなたは
「
その振動は桜の森を
「なんだ、なんなんだ、貴様は……!? 偉そうに説教か!? 貴様を生み出してやったわしに? 貴様を
「ピエロですね」
「……」
「奪うために与える……クズの思考回路だ。誰がゴミだって? 誰が毒虫だって? あなたこそゴミだ、毒虫だ……独りぼっちでダンスを踊っている、あわれな、
「……殺す、殺してやる……殺してやるぞ、ウツロおおおおおおおおおおっ!」
山犬は再び吠えた。
だが今度は、口で
もちろん、ウツロは動じていない。
それどころか、さらに冷静さを得た。
そして、
「どうぞ、ご勝手に。ただし、あなたにはできない。なぜなら――」
「……!?」
桜の森が
何かが地の
眠っていた者たちが目を覚ますように……
「俺が、俺のアルトラが……それを許さないからです……!」
(『第74話 エクリプス』へ続く)
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