02 新しい生活



 あんな男の事は忘れてしまおう。

 これからは、まじめに働いて自分のために生きる事にした。


 念入りに行動して、働く場所も、住む場所も遠くにして、あいつに見つからないようにしなければ。


 色々な所を探した末に、小さなお店を見つけて、住み込みで働くことになった。


 あいつに貢いで消えていたお金はしっかりたまるし、営業時間内でもおかまいなしに起きる修羅場もないからお客さんからの信用も損なわれない。


 やがて、まじめに働いていた私は、一人の男性と結婚し、幸せな家庭を築く事になった。


 格好良いプロポーズの言葉も、気の利いたプレゼントもなかったけれど、私達は幸せだった。


 しかし、そんな私達の元に、借金に追われていたあいつが転がり込んできた。


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