第36話 憂鬱な新学期

 冬休み。主な祭事は年末に家族と過ごす。次は神社で巫女さんや神官たちの演奏を聴く。その後は家でのんびりお餅を食べたりと過ごす。これで終わり。

 意外と冬休みはのんびりと出来る分基本的には正月休みという表現が正しい。

 その中で私は自分で一つ絵本を書き、お婆ちゃんに両親、それから縫お姉ちゃんに見てもらった。


 もちろん評価は「画集の方が良くない?」に尽きる。


 正直内容の方はどうしようもなく、画集の方が良いとほぼ総意みたいなものだった。

 もちろん悔しかったけど、内心決心できた。

 なら絵で勝負しようと——もちろん部活動は続けるけど。


 そんなこんなであの後田舎では特に何事も起きず平穏に過ごして田舎から帰ってきた。

 田舎の下狛村は山が多くて静かな場所だけど華鳥けうに帰ってきた。

 うん、車の音がうるさい。


 私は部屋の窓から外を見る。

 時間帯はもう夜で私も明日の始業式に備えて早く寝よう。


 ——だけど。


 私は胸の奥底を熱くして布団で顔を隠す。布団の中は冬用の掛け布団のせいかつぐに熱がこもり苦しくなって顔を出した。


 「しょ、正直ワラとのお付き合いってことは——体をお触りとかあるかもしれないんだよね? で、出来る自信がない……」


 まぁ、きっと大丈夫だろう。


 多分。


 ——次の日。無論、あの後眠れるはずがなく寝不足のまま起き、お母さんの手料理を口にして学校に向かい、その後は教室に入るとすぐに机に伏した。


 「あ、あのウズメさん? 何かあったんですか? いつにましてくらいですよ?」


 顔を少し上げた先ではチヒロさんが私に顔を近づけて中腰になっていた。

 そんなチヒロさんも少しくらいが、多分あれだろう。


 「チヒロさんも暗いけど大丈夫? 確かに冬休みの発表は失敗しちゃったけど次の春休みは成功しようね?」


 チヒロさんは図星だったのか耳の先端を赤くする。そして首をブンブン振り私の肩を揺する。


 「べ、別に気にしてなんかいません! ウズメさんこそ今日少し熱があるんじゃないですか? それとも何かされました?」


 「いや、別に」


 正直チヒロさんに胸がドキドキして眠れませんでしたなんて言えるはずがない。

 私がチヒロさんからの一方的な問いを回避し、そうこうとしていたら鐘が鳴りササ先生とツキヤ先生が入ってきた。

 そして軽く今日の予定を話した後そのまま体育館へ移動し始業式を行い、昼にはもう帰る時間となった。


 私は席から立ち上がりチヒロさんを見る。


 「チヒロさん。今日部活よね?」


 「あ、えぇそうですね」


 「ん?」


 チヒロさんはどこか不自然な口調で返事した。目もぱちぱちして何か言いたことがあるようにやけにもみあげを弄っている。


 「何かあったら聞くよ?」


 「だ、大丈夫です! 行きましょう!」


 「え、うん」


 チヒロさんは強引に私の手を掴むとそのまま歩き出した。そして扉から出る一瞬笑と目があった。

 ワラは私を見た後首を少し傾げ、それを見た私の胸はおかしくも暖かくなった。

 とりあえず目を合わさないようにしよう。


 ——一時間半後。

 私は目の前に広がる光景に唖然する。

 それは部室の中でいつも真面目なチヒロさんが机に伏して陰気な雰囲気を漏らしてワラは畑に行って計測し今ちょうど部室に戻ってきて、カマタ君は希釈培養液を用意して鉢植えに植えてある検体一つ一つにかけていった。


 私は手を止めずに定規で検体の高さを測り、表を確認する。


 「——」


 大きさはやっぱりどれも変わっていない。むしろアブラナ科にはとても効いている感じなんだよね。


 「ねぇ、カマタくん。一応市販のアブラナ科用の栄養剤とは異なる成分?」


 「まぁ、そらな。こっちは元々放線菌の培養液なんやし。ミコトはどうや? そっちの鉢植えは?」


 「——弱っている。チヒロみたいに」


 ワラは視線をチヒロさんに向ける。

 で、とりあえずチヒロさんがこうなったのは部室に来た後顧問の先生から頂いた前回の発表の審査員の感想のせいだ。

 それらを一部抜粋していうなら——。


 『何か研究迷走していない?』


 『確かに栄養剤に変えて考えるのはありかもね。けど、抗菌作用としての効果はもう調べないのかい?』


 『なるほど、うん——なるほど』


 こんな感じの感想だった。まぁ、賞は僅少で良かったはずなんだけどチヒロさん的には気に入らなかったらしい。

 チヒロさんは今もまだ机に伏しているけどまぁきっと元気を取り戻すと思う。


 私は計測を終えた後チヒロさんに近づく。


 「チヒロさん。計測終わったよ? 他にすることある? あ、畑は——明後日か」

 

 「——今日はもう終了です」


 「あ、え?」


 チヒロさんはそう一言言った後すぐに荷物をまとめてそそくさに部室から出て行った。

 本当にどうしたんだろう……。


 「ん? 何やまた喧嘩しとんのか?」


 カマタ君が体を伸ばしながらそう言った。

 喧嘩した覚えなんてないんだけど——ん?

 

 私はワラを見る。ワラは私と目があったのの気づくと首をかしげた。そういえばワラ冬休みの時チヒロさんとその従姉妹のサカキさんに告白されたんだよね?


 「ワラ? 今日空いてる?」


 「ん? 何や惚気か? カァーならわいはさっさと帰らんとな!」

 

 「カマタくん? 別に違うんだけど!」


 私は抗議しようと後ろを向いたその時突然ワラが後ろから抱きしめた。

 私は一気に熱くなる胸を押さえて尻尾を振ってワラに抵抗する。


 「もう! 恥ずかしいから!」

 

 「——あ、ミコト。人狼族は頭を撫でられるのが好きらしいぞ。特に信用できる人に」


 「こう?」


 「こ、こら! もう怒るよ!」


 ワラは容赦なく私の頭を後ろから撫でる。いや、確かに不愉快じゃないけど少し変な気分になるからやめてほしいですはい。


 「まぁ、二人は幸せにな。で、ミコト。多分あの現場だよな?」


 「うん」

 

 「一応聞くけどそうする気や?」


 「——」


 いつもふざけているカマタくんの雰囲気が急に変わ利、少し真剣な声で笑に投げかけた。

 ワラはしばらく黙る。


 「俺は知らない。ただ断っただけ」


 ワラはいつも通りの口調で言う。


 「せやけどな。おそらくやけどあれ面倒くさいことなるぞ。サカキさんこっちに転入するみたいやし。2年になった時やけど。まずはチヒロさんと仲直りするんやで?」


 「どこが悪いのかが分からない。納得してくれたと思っていたから」


 するとカマタくんは困った顔で髪をくしゃくしゃする。


 「とにかくや。お前の悪いところは母親にそっくりな何もかも正直に言うところや。時には嘘ついてええんや。勿論、優しい嘘限定やけどな。お前は相手を木津つけてしまうことも考えて遠回しには言うけど時には嘘をついたらな」


 なんだろう、間に入ったほうがいいかな?


 「いくら何でも告白を断る言い方あったやろうに『友人としては好きだけど恋愛にはならない』はいくら何でも言い方きついぞ?」


 「——!」


 いや、いくら何でもそんな言い方はなくない!?


 「サカキさんに対して」


 「いや待ってどう言うこと?」


 私が声を出すと一瞬だけ部室内の険悪な空気がマシになった。そして扉の外からドタバタと激しい音が聞こえた後、綺麗な黒髪に派手な着物を着たキク先輩と後ろ髪をまとめた久々にあった気がするスズカ先輩が来た。

 キク先輩は私とワラ、カマタくんを交互に見た後——。


 「なるほど——。修羅場かっ!」


 「いえ、違います」


 よし、この空気は先輩方にどうにかして貰おう。


 この後先輩方に先ほど起きたことを話した。

 基本的に全容はカマタくんの話だけで納得できる内容で分かりやすく言えばチヒロさんはサカキさんに『ワラは私の事を好きなのか』を聞いてきてと言われたらしい。

 が、ワラはそんな事情を知るわけもなく、本気でチヒロさんが言いにきたと勘違いして振ったらしい。


 「いや、まぁ内容はわかるけど。そのサカキさん……て人七歳の時に告白してきたのよね? その後遊んだりしていたの?」


 と、スズカ先輩は興味津々に聞いてきた。


 「まぁ、幼馴染みたいなもんでしたからね? な? ミコト?」


 カマタくんの言葉にワラは頷く。スズカ先輩は真剣に考えている素振りを目を輝かせながら行う。


 「なるほど、幼馴染に告白されて? こっちに二人来たのは高校の時だとして……そのサカキさんは何かその、好きになって欲しいとかそんな行動していなかった?」


 「体を密着はしてきましたね。ほんでミコトときたらいとこが好きだからと言ってサカキさん以外からの告白はそう言って逃れてましたよこいつ」


 「へぇ〜!」


 「——スズカ。喜んでない?」


 「いいえ別に」


 先程から静かだったキク先輩から冷たいツッコミが降りかかる。

 これ私ほぼ関係ないよね? どうか私の話題が来ませんように?


 「え? けどヒビワラくん。ウズメちゃんと付き合ってるでしょ? 文化祭の時後ろから胸揉んでたじゃん」


 「——え?」


 するとスズカさんは顔を真っ赤にすると顔を隠し、カマタくんは真顔になった何も言わずワラを見た。


 「待って、うん。ウズメさん抵抗しなかったの?」


 「え、えぇまぁ」

 

 いやあれはほぼ妖怪退治の一環だみたいなものだったし。例えるなら定期検診みたいな感じだったし。


 「どうヒビワラくん? 柔らかかったでしょ〜。少し嬉しそうに余分に触ってたもんね〜」


 「——」


 ワラは咄嗟に目を逸らす。

 いや、まぁワラにはいつも助けられているから別に構わないけど。てか話止まっているよね?

 私は机の上に手を乗せる。


 「と、とりあえず話の続きをしましょう!」


 「せ、せやな。後でミコトしばいたるわ」


 「いやいいから別に!?」


 「そうね、とにかくヒビワラくんの不祥事の解決を先に?」


 「ウズメちゃんあたしも触っていいかな?」


 「自分のを揉んでください」


 なんとか私とワラの不祥事からワラだけの不祥事の話に戻った。まぁ、不祥事と言えるほどじゃないとはいえ。

 よし、とりあえず話題を戻そう——。


 その後30分ほど話して出た結論はとりあえず謝ろうだった。当たり前だけど。

 どうやらワラもワラで本気で本人からだと思ったらしいし。チヒロさんもいとこの事言われて悲しかったんだろうね。


 もうすでに外は暗くなっていた。

 私は隣を歩くワラを見る。今向かっているのはミコミさんと合流するためだ。まだ誰かに月魔と会われているみたいだから何とかしないと。


 ——その前にちょっと私からチヒロさんの件での事情を聞くか。


 「ねぇ、ワラはどうしてあそこまで言ったの?」


 「——みんな勘違いしている」


 「何が?」


 「あの時のチヒロの顔、サカキだけじゃなくて自分の本心でもあったから」


 「——それって」


 待って、と言うことはあれサカキさんのを言いに来たつもりで自分の分でもあったの?


 「もしかしたらこれ、ちょっと待って。要約するとチヒロさんとサカキさんは両方ともワラが好きってこと? ワラは私と付き合っているのに?」


 「あ、けどそれだと——」


 「と?」


 私はとりあえずワラを睨む。とにかく明日は休み。ここぞとばかりにワラがしてしまったことをお説教しよう。


 「目を逸らしながら『好きですか?』だからあれは実はまた別の意味だった気もする」


 「いやどっちよ……」


 何だもう。考える気が失せてしまうんだけどそれ。だとしたらサカキさんがチヒロさん越しで好感度を聞いてくるなんておかしいよね?

 ——あれ? ちょっと不自然なんじゃ? サカキさんはワラとの付き合いがチヒロさんより長い訳で、カマタくんの話した内容から見て、いくら何でもチヒロさんとワラが仲がいいように見えるんだろうか?


 「ねぇ、ワラ的にサカキさんって自分が好きかを誰かを介して聞いたことある?」


 「無かった。振った後も常好きになったかなとかは聞いていた」


 「そんな子が今更遠回しに聞くかな? いや、高校生になったらあるか……思春期なんだし」

 

 「関係ない」


 ワラは珍しく冷淡にも一言だけ告げる。


 「どうしてそう言えるの?」


 「——中学一年生までわざわざ家に遊びに来たときに着物を脱いで裸を見せてきて興奮したのかを聞いてくるから」


 「わ、わぁ〜本当にワラのこと好きだったのかもね」


 ここまでするとは驚きだ。多分ワラの頭の中を自分でいっぱいにしたかったんだろうけど無理だったに違いない。

 


 「だからこそ、チヒロがボソッとサカキが口にしたことを変に責任感を感じて俺に聞いてきていたんだと推測していた」


 ワラはそう小さな口調で言った。

 ふむ、サカキさんは聞いている限り笑に好きになってもらえず悩んでいて、チヒロさんに相談したんだろう。それを聞いたチヒロさんが確認しに行ったのであれば何となく理解ができる。


 「——ね、もしかしてだけ」


 すると目の前の暗闇から一回り小さな女の子が飛び出してき私に飛びついた。その子は髪が短くどこか怯えていた。


 「ミコミ?」


 「あ、ミコミさん!」


 暗くてよく見えなかった顔が徐々に見え、ミコミさんは私の胸に顔を埋めて涙を流していた。 

 私が最初にかける言葉に悩んでいる時先にワラが話した。


 「どうしたの?」


 「む、向こうの信号で待っていたら、私に異様に近づいてくる……」


 「誰に?」


 「中学の体育の先生に……」


 「——そう」


 ワラは目つきを鋭くする。もしかしたら今から行くつもり!?

 私はワラの着物の袖を掴む。


 「ま、待って。とりあえず家に連れて帰ろう? その後電話すれば——」


 「——分かった」


 ワラはゆっくり頷くとチヒロさんを家まで送った。

 私はワラの家に上がるとワラから「今日泊まる?」と聞かれ、ミコミさんが一緒にいて欲しいと本気の懇願を受けたため縫お姉ちゃんにはとりあえず今日ササ先生の家に泊まると嘘をついた。


 そして今に座ってご飯を作ってくれているワラを待っている間、ミコミさんは涙目で私の腕にしがみついていた。


 私はミコミさんの頭を撫でる。


 「もう怖くないよミコミさん。私とお兄さんがいるんだから」


 「——怖かった、怖かったっ」


 ミコミさんは鼻を啜りながら顔を隠す。

 

 ——私も怖かった。状況とされたことは違うけど、中学一年生の時に異性に体の隅々まで見られたことは一生忘れられない。初めては守れたとはいえ心の傷は絶対に消えない。


 「体は触られた?」


 「ないです……」


 「そう——」


 それからワラがご飯を持ってきて、ミコミさんは腹を膨れさせたからか、ぽつりぽつりゆっくりと話してくれた。


 「中学では、別にいじめられてなくて、ただみんなとどう接するのかが分からなくて、嫌われるのが怖くて。電車とかで付き纏われているのも相談できなくて。体育の先生もいつも優しいのに今日どこか怖くて……」


 「見間違いとかじゃなくて?」


 ワラがそう言うとミコミさんは首を横に振った。とりあえずその体育の先生について詳しく聞いたほうがいいよね。


 「その体育の先生の写真とかあるかな? あればその顔の人を尾行できるかもだし」


 「——おやつ出されてもついていったりしない?」


 ワラは唐突に失礼な事を聞いてくる。

 いくら何でも私はそれだけはしないから。——保証できないけど。


 私がそう言うと、ミコミさんはご飯を味噌汁と一緒に食べた後、部屋に一度向かい、しばらくして写真集を持って出てきた。

 私はそれを受け取ってワラと見ながら広げるとどうやら去年の体育祭みたいだ。


 そして三枚ほどめくったあたりでミコミさんは止めてミコミさんの後ろに立っている人に指をさした。

 その人はまだ若く、身長は高いが優しい顔が特徴的な女性だった。


 ——ん? この人私が中学の時の保健の先生に似ている?


 「ま、まぁとりあえずこの人が体育の先生なんだよね?」


 「はい……」


 えぇ〜と。この人確か私を助けてくれた張本人なんだけどこんなことするのかな? ミコミさんも学校に行くの怖がっているようだし。


 「兄さん。学校休んでも良い?」


 「——構わない。今日そんなことあった時は落ち着く時間が大事だから」


 「——うん」


 何だろう。確かに休むべきではあるけど、長く休むと今度は行くのが怖くなる。だから早いところ究明しないとダメか。


 その後とりあえずミコミさんの部屋で寝巻きに着替えて眠ることになった。

 けど私は眠れる筈もなく、身体中を纏う寒気にうなされるようにして目が覚めた。

 ミコミさんは私から少し離れて——というわけでなく、私が布団から蹴り飛ばされている形だった。


 寒いし、あと意外とミコミさん寝相悪かったんだ。

 私は起き上がると部屋から出てトイレに向かう。そしてついたのと同時にワラが東レから出てきた。


 「あ、ワラ」


 「——眠れなかった?」


 ワラは私に近づくと羽織っていた半纏を私の肩にかける。


 「ううん。寒すぎて起きた感じかな」


 「そう。なら、おやすみ——」


 何だろう。この時の私は寝ぼけていたのかもしれない。私はワラの寝巻きの袖を掴むとゆっくりワラに体を密着させていた。

 その間は長かったのかもしれないし、短かったのかもしれないけどわかるのはワラに密着していると言う事実ぐらい。


 「その、ワラ?」


 「何?」


 「明日、チヒロさんにちゃんと説明だよ?」


 「分かった。けど、どうしてくっつくの?」


 「あ、えーと」


 私はワラから離れると手を後ろに組み、ワラから目線をずらす。


 「た、ただワラが私の体目当てじゃないかの確認だから。その、それと私自身ワラに触られても平気なのか確認したかったし。あと、高校生だからこそ——その、うっかり合体は避けたいから」


 「分かった」


 「あと、合体したかったらその前に言ってくれたら良いけど、まず私の心の準備を要請してね。それからえーと……」


 するとワラは私の脇腹を優しく触れる。顔を上げるとワラは落ち着いてと言った感じの優しい表情だった。


 「とりあえず、チヒロとミコミ。どっちから解決すれば良いと思う?」


 「——まずはミコミさんからかな。ミコミさんのはちょっとばかしすぐに解決できそうだし。チヒロさんは学校で私が何とか情報を集めるから」


 私がそう言うとワラは頷いた。

 多分。これでいけるだろう。私はそう心に決めた。


 ——それからチヒロさんは突然学校に来なくなった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る