第17話 ウズメの決心

火曜日の放課後。火曜日は本来部活の日だけど今は一度抜け、長い廊下を早歩きで進み職員室に向かう。

 私の手にはササ先生から提出を言い渡されたレポートがあり、それは微生物研究基礎の実験をまとめたもので、本来は明日が締め切りだけど何故か私にだけ早く出すよう命じてきたのだ。

 生徒と先生の関係は弟子と師匠の師弟関係。ここは素直に従って提出しよう。

 

 そして全国の農業高校の近況および宣伝が書かれた広告が貼り付けられてある掲示板の隣の扉を叩く。まず組の名前と目的のササ先生のことを言ったけどササ先生はどこにも居なかった。

 

 ——おかしいな。レポートは直接提出とか言ってたけど、もしかして気分が変わっていつも出してた生物工学科の職員室に提出?


 そこで次に私は生物工学科の職員室に向かい、扉を開けるとササ先生がおり、ササ先生は私を見つけると意気揚々と席から立ち上がった。

 生物工学科の職員室は相変わらずの古さを保ち、ボロボロの床につい最近買い換えたのであろう机にレポートを提出する場所は段ボールでガサツに床に置いてある。

 もちろん組と学年はちゃんと書いてあるけど。


 ササ先生は少し笑いながら私の元に来た。

 「あ、ウズメさんごめんなさい。いきなり提出を連絡して。あ、内容とか欠落部分は大丈夫ですか?」

 「いえ、大丈夫ですけど。——どうして私だけ?」

 するとササ先生に職員室の外に連れ出され、小声で「白鬼のことです」と丁寧に説明を始めた。

 「その、白鬼は気分が落ち込んだ時に付け込んで——」

 「あ、それもう聞きました」

 「そうなんですか?」

 驚くササ先生に私は説明した。


 説明したことは先週の土曜、白鬼について説明を受けた日の夜に見た夢のことだ。

 最初は信じてくれなさそうだったけど、ササ先生は何かに気づいたのかただ静かに頷き「把握しました」と返した。

 そしてササ先生は私からレポートを取る。


 「分かりました。そのことは外部には漏らしません。それとレポートはしかと受け取りました」

 「——分かりました」

 その時ササ先生は「最後に——」と私の肩を優しく掴む。

 ササ先生は人差し指を立てる。

 「あとミコトくんの気持ちがわからない時は眼を見てください。ミコトくんはああ見えて感情豊かですよ」

 ササ先生はまるでワラのお姉さんのような口調で説明してくれた。


 そういえばササ先生とワラと縫お姉ちゃんは三人で旅をしていたことを思い出した。

 だけどワラは周りが異性で特に年上の環境下で何もなかったのかな。


 ——ワラってスケベだから平気でなんかしそうだもん。


 私はササ先生にお辞儀をしたあと、部室である微生物第一研究室に帰還した。

 ていうかササ先生私に対してなぜ早く提出することになったのかについての説明してないし。

 

 まいっか。良くないけど。


 部室に入るとワラはのんびりとした雰囲気を漂わせながら種を植え、チヒロさんはそこか恥ずかそうに俯きながらクリーンベンチで作業をしていた。

 「ワラ今何をしてるの?」

 ワラはいつもの無表情。てっきり私を少し見た後にまた視線を戻すだろう。

 「——播種」

 

 あ。


 珍しくワラは言葉を口に出して教えてくれた。

 ササ先生に言われた通り目を見ると少し輝いているように見える。

 楽しいってことかな?


 私は机にカバンを置くとチヒロさんのもとに向かった。

 チヒロさんはピペットを持って眉間に皺を寄せるぐらい慎重に調整していた。

 「チヒロさん今なんの作業をしてるの? ——あ、ごめん」

 私が話しかけた瞬間ピペットの中の液体がビーカーに戻ってしまった。

 チヒロさんは恨めしそうな顔で私を見る。

 「その、ごめんなさい」

 

 「まったく、驚かせないでくださいよ」とため息まじりで口に出した。

 そしてチヒロさんは一度作業を中断して白衣の懐から紙を取り出し、私に押し付ける。

 多分これに書いてありますと言いたいのは分かるけどやっぱり怒っているのかな。

 私は髪を受け取った後もう一度「ごめんなさい」と謝る。

 「あの、別に怒ってませんよ?」

 チヒロさんはようやく口を開いてくれた。

 「えーと。何かあったの?」

 「その……この間私の家に来ませんでしたか?」

 

 あ、もしかして一度も会いに行こうとしなかったことで怒っているのかな。

 「うん、来てたよ」

 「——事情は聞いてあるので良いのですが。ヒビワラさんは何もおっしゃってませんでしたか?」

 「何もって……何かあった?」

 「いえ、聞いていないのでしたら大丈夫です。では、私は実験に戻りますので」

 チヒロさんはそういうと手を消毒液で濡らし、もう一度クリーンベンチの中で作業を始めた。


 「実験か……」

 私は紙を見る。


 ——培養液利用農薬開発。本日の作業。

 

 ・ヒビワラは植木鉢にて播種。


 ・チヒロはクリーンベンチにて培養液を希釈したものを用意すること。


 ・ウズメは畑の水やりおよび畑の写真を一枚。雑草抜きも忘れずに。


 ・カマタはパソコンにて発表用紙の基礎作成。(訂正:キク先輩に拉致られたので来週お願いします)


 ——私は水やりと雑草抜き。最後は写真か。


 それとカマタくんは残念でした……。


 私は紙を机の上に置いて生物工学部が所有している畑に向かった。

 畑はかなり綺麗で、以前植えたばかりだか芽か眼はまだ出ていない。

 えーと、確かジョウロで優しく水やりだよね。

 管ですると種も流れていくとか言っていたし。

 私はジョウロに水を入れて畑に水をやる。


 それから雑草を抜いて写真を撮るなりして裾を汚し終えた。

 時計を見るとまだ四時半でこの部活が終わるのは大体五時だからちょうど良いかも。

 それから私は畑から出て鍵を閉めた。

 「——?」

 私は後ろを振り向く。

 特に何もないけど少々悪寒が走る。

 

 すると目の前に赤い球体が現れた。

 「ひゃっ!?」

 「そんなに驚く!?」

 「あ」

 落ち着いて見ると、球体にタコみたいな触手がついている変態どすけべダコ、チトセ校長先生だった。


 「どうしてこんなところに?」

 校長先生は淡々と質問する。

 どうしてここにって……私はただ部活動で使用しているだけだけど。

 「あー部活動か。ここ確か生物工学部や生物工学科と食品化学科が持ってる研究部門とかが使う畑だもんね」

 チトセ校長は一人で納得した。

 

 私はそのまま部室に戻ろうとすると校長もついて来た。


 「どうしたんですか?」

 「いいや。君が隠していることを当ててやろうと」

 「勝手にしてください」

 私は適当に返す。

 なぜなら不吉なものを連れているのがバレたら退学にされそうで怖いからだ。

 チトセ校長はしばらく考えるそぶりをし、ぶつぶつと口にし始めた。

 「おおよそ白鬼か邪神。これでも違うとなれば、更衣室で最初は下着に無頓着だったけど、みんなのを見て子供みたいで恥ずかしいと思い始めたとか」


 白鬼、今確かに白鬼って校長先生の口から出た。

 「あの——」

 「そんなに下着に悩んでたら今度良い感性の人紹介するよ」

 「違います! 今白鬼って言いませんでした?」

 「うん、言ったよ」

 チトセ校長は否定しなかった。

 「校長先生は白鬼について何か知っているのですか?」

 「あぁ。知ってるよ。むしろアイツの全てを知っている」

 私は足を止める。校長先生はぷかぷかと浮きながらその場で静止し、いつもの笑ったような顔で私を見下ろす。


 思えば校長先生は現代の感覚で見ても不自然で、なぜならタコ妖怪は海に住み、内陸のこんな奥までくるはずが無い。

 さらに人型でも陸に住んでいるのは魚人のみでタコなんていない。

 だから今考えれる正体は邪神もしくは——。

 「白鬼の本体?」

 「違うに決まってるでしょ」 

 「ですよねー」

 チトセ校長先生は真顔で返した。流石に今のはダメだったか。

 「でも、これだけは忠告しとく」

 「——?」

 「白鬼に勝とうと思うのなら、本音をはっきり言える方が得だよ」

 チトセ校長先生はそういうと校長室へと帰っていった。


 「本音をはっきりか……」


 それから私が部室に戻ると、チヒロさんは頬を膨らませながらプンスカと私のカバンを持ちながら可愛らしく怒っていた。

 私は「ごめん」と謝って鞄を受け取り、ワラも入れて三人で下校した。

 そしてチヒロさんは電車から降りて、ワラも降りるだろうと思っていたけど降りなかった。

 私は間違えたと思って「降りないの?」と声をかけた。


 するとワラはゆっくり私に視線を合わせる。

 「何かあった?」

 今思えば私はある時ワラのことをじっと見つめていた時期があった。

 これはまだ会って一ヶ月という短い期間で発生すること自体私は異端だと思うけど、少なくとも無意識でワラのことを少なくとも二週間ほど見ていた時があった。

 見つめている時間自体はさほど長くなくとも、じっと見つめてしまうのだ。


 「ねぇ……ワラ」

 私は細く小さな声で呼ぶ。

 するとワラは首にかけていた勾玉を外し、私の首にかけた。

 ワラの髪は徐々に銀色へと変わっていく。

 

 一体何がしたいんだろう?

 ワラは相変わらずの表情がない

 「ワラ、これは?」

 「霊力を隠す。ウズメの霊力は目立つから」

 ワラはそういうと私の手を握る。

 「次の駅で一緒に降りて。少し誘導作業がある」

 

 ワラはそういうと正面に向き直り、窓の外を眺めた。

 

 それから車内に放送が響き渡る。


 ——間もなく。天下原駅に到着します。お降りの際は足元にご注意ください。


 するとワラは私に 視線を合わせ、顔を寄せた。

 「ウズメ、しっかり聞いて」

 「な、なにを?」

 「好き」

 「へ?」


 すると近くで大きな音がした。


 それに気づいたワラは私を立たせ、ドアの前に行きいつでも降りられる体制で待機。

 そして間もなく扉が開くと、ワラは私の手を握ったまま早歩きした。

 「え、今のは!?」


 胸の鼓動が止まらない。

 目の前の情景は路線が表示され、上に行き先が書かれた看板が吊るされている電車乗り場の西改札を定期券を大急ぎで差し込んで抜ける。

 そこからは迷路のように道が伸びている住宅街に出た。


 ワラは何も言わず適当な道を歩き始めた。


 背後からは何かが来ているというのはなんとなく分かる。

 それにしてもあの大きな音は? あの音に反応したのは私とワラだけ。一体何が……。


 私はミコミさん(偽)に襲われかけた時のことを思い出す。

 「ねぇ、今のは?」

 「今の音は白鬼がウズメの存在に再び気づき、嫉妬して暴走直前になっている音」

 「違う、さっき私に言ったこと!」

 駅から出てかなり住宅街に木の根のように張り巡らされている長い道を時間歩き続けた。

 それから少し暗い道に入ったりと、もう自分が知らない領域に入っている。


 ワラは息を切らさず、真剣に考えて道を歩いているのかそれとも何も考えていないのかが表情から読み取れない。

 「えっと、何するの?」

 私は震える声でワラに聞く。ワラは何も返さなかった。


 そしてついに行き止まりになった。

 「ウズメ、後ろの顔に見覚えある?」

 「——?」

 ウズメは後ろを振り返る。


 そこにいたのはどこか見覚えのある顔だった。

 その顔とはもう二度とと見たくもなく、ヒスメが作った世界でもう何度も見せられたあの顔だった。


              *


 ——————。


 中学の頃、私は色が見えなかった。

 何をしても怒鳴られ、暴行を受けての繰り返し。

 唯一色を見せてくれていた存在の縫お姉ちゃんはどこかに行ってしまった。

 そんな私を見ると周りの人な悲しそうに見る。


 だから私は学校からバスで村に帰った後「楽しかった!」って嘘の言の葉を出すのが日課だった。

 

 この日の私もいつも通り中学でとぼとぼと教室に向かっていた。

 今日も嫌なことに上履きが異臭を放っていた。

 私は上履きに履き替えず、家から持ってきた新しい上履きで教室に向かう。


 教室はどんよりとした雰囲気が充満し、まるで私に入ってっくるなと言っているようにも思える。

 中に入ると私の席はなかった。

 いや、正しく言えばあったけど勝手にものが置かれ、机に入れていたものは床に捨てられていた。

 机の占拠しているのはケバい女子とダサい髪型の男子だ。

 猿みたいな顔に不愉快感を覚える奇声で話す男と、出っ歯のどんぐり頭で私より背が小さく、ボロボロの薄汚れた茶色の着物を身につけた男、豚みたいに唾を飛ばし、ヒョウタンみたいな体型でよだれを床に垂らし続ける男、最後に嫌悪感が全身から湧き出るほどに肌白の気持ち悪い人など。

 ケバい女は全体的に直球に言って太り過ぎで、いつしか穴が空いた水風船のように肉汁が飛び出るのかもしれないような女だ。

 着物は女らしさを表現したいからか桃色で、髪は橙色に染めている。

 もしあれを第三者から見れば動物園と表現できるだろうが、私の場合は無視できなかった。

 なぜならあそこは私の席で、さらに今日は国語の小試験だ。

 そう、予習したいのだ。


 

 私は嫌々その人たちの元に向かい、声をかけた。

 「あの、席を返してください」

 私は恐る恐る声を出す。


 するとケバい女子が「はぁ?」と苛立ちがこもった声を出す。

 「おまぇ、舐めてんの? アタチを誰だと思ってんの?」

 そういうと彼女は私の胸ぐらを掴む。

 「へっ、この年で発育良いからって自慢ですか? お前みたいな卑猥な女はん男子の処理係でもしとけ!」

 そういうと彼女は私の着物を無理やり脱がせ、サラシを強引に引きちぎった。

 私は声が出ないまま胸を隠し、その場に力が抜けたように座り込む。


 周りから笑い声が聞こえる。


 どうしても誰も助けてくれないのか?



 私の一つ目の人生が終わりを告げたのはこれから一週間後だった。



 ————————。

 ————。

 ——。

                *


 私は後ろに立つ男を見て思い出した。


 その男の特徴は豚みたいな顔で、まるでヒョウタンみたいな体型で、髪の毛は頭のてっぺんにしかない顔も入れて全て残念な男。

 「こ、こいつは中学の時、私の、私の初めてを奪おうとした……」

 私はワラに震えながらも説明する。

 足はがタガタ震えどうしようもない。

 現に今ワラにしがみついてなんとか倒れずに済んでいるぐらいだ。

 「おぉい。俺の女の何してるんだぉ?」

 世界で一番聞きたくないほどねっとりとした男の声が聞こえる。


 その時のワラは隠していたのか短刀を引き抜き、男に向けていた。

 「そいつの名は?」

 ワラは冷静な声で聞く。

 とっさに私は「ワボ」と答えた。


 「ワボ、貴様はこの子に何か用があるのか?」

 ワラは珍しく饒舌で喋り始めた。

 「ウズメはお前を見て怯えている。それに俺はウズメの過去を知っている」

 「知っているぅ? ウズメは俺の彼女ぉだ」

 「言っておくがそれは古今東西からの恋とは言わず。女子の初めてを無理やりにでも奪ったら交際が始まるのは神代から許されていないことだ」

 そういうとワラは私を抱きしめてくれた。

 

 「恋ではないとは失敬なぁ。そいつはずっとぉー。俺を見ていた。だから恋に違いないと思うだろぉ?」

 「警戒の間違いでは?」

 ワボの顔はみるみる赤くなる。

 「うっさい! そもそも名誉毀損だ! 事実無根! 恋をして何が悪い!!」

 ワボは奇声を察しながら叫ぶ、その時ワラは「こいつはウズメに何をした? 言いたくないのなら予測して話す」と言った。

 「そ、そいつは私が寝ている時に、急に胸を触って……。その後大勢の男子を呼んで寄ってたかって襲おうと……。だけど間一髪のところで保健の先生が助けてく——」

 「すまない。確認のためだけに」と、ワラは謝った。

 そしてワラは短刀を高く上げた。

 「俺には妹がいる。その妹に擬態したことを後悔させる」

 そしてワラはワボに短刀を投げつき、頭に命中させた。


 しかしワボの頭からは血は出て来ず、そのまま倒れ消滅した。

 「え?」

 「白鬼はウズメの魂でヒスメと同じように嫌な過去を見て来ている。だからだ」

 「待って、もっと詳しく」

 ワラは静かに頷き、より詳しく解説してくれた。

 「白鬼はウズメの暗い過去を知っている。だからそれを利用し。ウズメの心を破壊し、魂を喰らおうとしている。だからこそ今回はワボに擬態したのだろう」


 そういうとワラはワボがいた場所に行き、短刀を拾い上げた。


 「一度大声でそいつに本音を言ってみて」

 「で、でも……」

 「そいつは少なくとも今ここにいない。けど、そいつに対しての憎しみがウズメの心にへばりついているせいでその過去から逃れられなかった」

 「——」

 

 確かにワラの言った通りの気がする。

 私は確かにヒスメのおかげで過去から逃れることができた。

 過去よりも前で生きていく。そんな決断をした私だけどやはり乗り越えられない壁は存在する。


 私は大きく息を吸った。

 「私は憎い。だって初めてを奪おうとしたんだよ。私はずっと普通に生きていただけなのに。私はそのせいで人生が一度ぶっ壊れた。何もかもを失った。せっかくの楽しい人生が壊され——」

 するとワラは私の頭に手を乗せる。

 「これ以上は白鬼の思うつぼ」

 「——分かった」

 私は渋々止める。

 なら最初から言わせないで……と思ったけど、ワラの目的はスッキリして欲しかったけど徐々に苦しい顔を浮かべる私を見ていられないと思ったのだろう。

 だからこれに関してはワラを責めてはいけない。

 「そういえばワラが私に電車で好きと言ったのはどうして?」

 「白鬼は自分のものに他人が愛着を持たれると怒る。それを利用した。——もう一つはササから好きといえば大体の女子ならついていくと教えられたから」

 「そ、そう」

 心の奥底で何かが割れる音がした気がする。


 確かに冷たくしてた人に好きとかは言わないよね普通。

 

 「——ササ先生からはこれは好きな人にだけと言われたから」

 ワラはボソッと何かを言った。


 「え、ワラ今なんか言った?」

 「何も」

 ワラの顔を見ると少し頬が赤かった。

 そのワラの顔を見ると不思議と嫌な気は起きなかった。

 「それとウズメ」

 「なに?」

 「これから体育祭までの間は最低でも自分らしく過ごしてみて」

 「どうしてって……あ、確か白鬼は陰気の時に漬け込んできて陽気だと来れないんだっけ」

 ワラは何も返さない、おそらく正解だったんだろう。

 

 「うん、そうしてみる」

 私がワラに笑みを向けると、ワラは少し目を逸らした。


 おそらくだけどアレが意外にもワラとの関係に大きな変動をもたらすなんて、最初は微塵とも思ってなかったのはここだけの話。

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