第3話 突入
研究棟の入り口は緊急時に降りる防弾シャッターで封鎖されていた。
そのシャッターの前には既に何人かの黒い装備の集団が立っていた。
コンはその集団に近づく。
「突撃はいつからだ?」
「3分後の予定、フレンズ特殊部隊の増援も来てる」
事態隠蔽部隊の隊長カミーラが答える。
後ろを見ると1人の男が黒装備以外の部隊の人間を指揮していた
「いつも通り仕事が早いな、それで中の状況は?」
カミーラは端末を差し出して見せながら説明する
「研究棟にあるBIGBOSSより前に使われていて今は計算用のスパコン、NAKEDのメイン制御室に立て籠もって館内放送で五分毎に1人殺すって言ってる」
「…解った、それで敵はどうしろと?」
「基本生け捕り、やむを得ない場合は殺傷もOKだって」
「極力捕まえよう、ここに誰の命令できたのか、そして、ルーカス博士を狙う理由は何故なのか、聞きたいことが山ほどある」
コンは時計を見て全員をシャッター前に集める
「後1分後に突撃開始だ、各自持ち場に着いて突撃準備を、尚、本作戦は隠密行動とする、メイン制御室に到着するまで奴等に見つかってはならない、いいな?」
『了解!』
「それと、フレンズ特殊部隊のトオサカ隊長、今回は支援、感謝します」
コンは1人の男と握手をして、お礼を言う
「いえいえ、そちらの火事はこちらの火事セルリアンハンターさん達にはいつもお世話になっているのでその恩返しです」
「心強い言葉です、それでは定刻となった、これより、突入を開始する!」
そうコンが言うと同時にシャッターを静かにこじ開けて中に侵入していく。
敵は完全にメイン制御室に籠城しているらしく道中敵に遭遇はしなかった。
メイン制御室のドア前に着くと最後の警告をする。
「メイン制御室の諸君、君達のやっていることは侵略行為だ直ちに投降する事を進める」
「…間もなく五分だ1人消すぞ、サッサと博士の情報を吐け」
「…仕方ない」
コンは通信を切るとドア付近の隊員にハンドサインを出す。
隊員は物陰に隠れるとスイッチを押す、すると、バァァン!という音と共にドアが吹っ飛び中のメイン制御室の電気が全て撃ち抜かれ暗闇になる。
「クソッ!!いつの間にっ!取りあえず暗視装置を付けろ!ってぐぁぁ!」
「ボス!?どうしたんですか?取りあえず暗視装置を…」
暗視装置を着けると目の前はスモークが広がっていた。
「暗闇にスモーク!?」
驚くのもつかの間、次の瞬間スモークの切れ目からトオサカが出て来て床に叩きつける。
「制御室オールクリア、作戦終了、負傷者と損害の確認を急げ」
コンが熱探知ゴーグルを上げて指示する。
スモークが晴れるとそこには気絶した敵対勢力が地面に転がっていた。
コンはそのうちの1人を叩き起こす
「おい、起きろ誰の命令だ?」
「言う訳……無いだろ…」
「そうか、」
コンは男のおでこに拳銃を押し付ける
「じゃあ死んで貰う」
コンは引き金に力を込める、シリンダーがゆっくりと回転して撃鉄が起き始める。
「っ!?ま、待てっ!解った!言う!」
「…」
コンは引き金に入れる力を止める気配は無い
「アーミー・テック!アイツらは
「火の鳥計画?何だそれは?」
「お、俺も詳しい事は解らないっ!た、ただ人工サンドスターを使い!人を蘇らせるとか…」
「人を蘇えらせる…成る程、解った…じゃあさっさと眠れ」
「は?…グァ!」
コンは男の首筋を手刀で横に衝撃を加え気絶させた。
「コンー、そっちは片付いたかー?」
ハブがカメラを片手にコンの近くに来る。
「ああ、新たな事実が浮かび上がってきたアーミー・テック、人工サンドスターそして、火の鳥計画…」
「あぁ…これは…深く入り込む必要がありそうだな…」
ハブは頭を抱える
「何にせよ、今はルーカス博士の保護じゃないの?ハブ?」
「…君は、フレンズ特殊部隊のオセロットか」
コンは少し容姿を確認してから言う
オセロットはリボルバーをくるくると回し
ホルスターに入れると頷いた。
「いかにも、私がフレンズ特殊部隊一のガンマン、オセロットよ、それで、ルーカス博士の護送は私も同行するわ、あと…これ」
オセロットはコンに封筒を手渡す
「ジャパリ・イン・ザ・ミラー…ねぇ荒野のど真ん中に立つホテル…運転は俺とハブ、そして護衛にお前か」
「ま、そう言う事ね時間には遅れないで頂戴、ハブとか特に、じゃ」
オセロットはそう言うと部屋を後にした。
「ジャパリ・イン・ザ・ミラー…遠いな
ハブ、お前はもう1台の車の操縦を頼めるか?」
「任せろ、で、出発は?…今夜?」
コンは書類を再び見る
「の、ようだな…さて、支度するか」
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~その夜、ジャパリ・イン・ザ・ミラー~
コンは荷物をトラックから降ろし、支配人にかくかくしかじか話を通していた。
話が一段落すると本部から今日付でルーカス博士護送部隊はしばらくの間親近警護に就くように命令された。
折角時間が出来たので皆で引越祝いと作戦成功を祝いパーティーをする事にした。
たまたまホテルに来ていたミュージシャンが音楽を披露する等かなり盛り上がった。
「…コンさん、先日はどうもありがとうございます」
ルーカスがコンに酒を差し出す。
「いえ、我々は任務を達成しただけです、それよりもこんなホテルで実験は出来るんですか?」
ルーカスは少し微笑み答える
「このホテルの地下とこの辺りに一軒洋館が建っています、そこでこれからも研究を進めます」
コンは安堵の表情で
「そうですか」
と、答えるとカメラを持った支配人が上アングルから構える。
「皆さーん写真を撮りまーす、はいチーズ」
パシャ…
その場で現像されたハンターズやトオサカ隊長の面々が写った写真は皆に配られた。
ルーカスはそれを胸ポケットに入れ、そのまま何処かへ行ってしまった。
コンが辺りを見渡すとさっきまで何の変哲も無いBGMだったピアノのキラキラ星をオオミミギツネのフレンズが弾いてることに気付く。
(そう言えばさっきルーカス博士があのフレンズにピアノを教えてたな、短時間であれ程の物が弾けるとは…フレンズの学習能力は計り知れないな)
コンはグラスに入った酒を一気に飲み干すと席を立ち、メガネの元へ歩く。
「お疲れ、コン」
メガネは気分良く挨拶する
「お前こそ、襲撃の時は大丈夫だったか?」
「かなり焦ったけどまぁ、大丈夫だよ」
「怪我は?」
「いやー…そんな大した事無いから大丈夫…それよりも、コン、このホテルの事知ってる?」
「いや、」
メガネは書類を渡す
コンがそれに目を通すとため息を付く
「成る程、サンドスターの研究所だったのか…しかもフレンズ特殊部隊の行きつけだとわな」
「そして、今研究開発の一部メンバーのここへの異動が行われてるらしいよ」
コンは少し考える
「…このホテルはどれ位客が来る?」
「エリアの境の近くにあるからね…結構使われてるよ、それがどうかした?」
コンは頭に?を浮かべるメガネを尻目に
「いや、なんでもない」
と言いながら賑やかな食堂を後にした。
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~ホテル地下~
1人の白衣を着たサンドスター研究所の研究員がルーカスの前に座っている。
その男の名はディラン
ディランはルーカスから渡された計画書に目を通すと驚きを隠せなかった。
「所長…これは…」
ルーカスは腕を机に乗せた状態で手を顔の前で組む。
「そう、人類が誰も為し得なかった神への道…永遠の命、そう、我々は遂にサンドスターによって生命の実をも手にするのだ」
ディランはつばを呑む
「つまり…貴方の言うのは知識の実と生命の実…どちらも手に入れた存在、ヒトのフレンズを作り出すと…」
ルーカスはニヤッとする
「そうだ…彼女達と同等の素晴らしい存在に我々は昇華するのだ、そうこの…」
「火の鳥計画によってな」
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