第1話 ジャパリパーク特殊機構

20XX年ジャパリパーク パークセントラル

午前1:34


静まり返った街に一人の男がオフロードカーから降りる。


その男の名は、ルーカス・ハイド。


現職のサンドスター研究所所長だ。  


「ルーカス博士、こんな時間にお出かけですか?」


ルーカスが振り返ると後ろにはパークレンジャーの格好をした男が立っていた。


「…貴方は?」


ルーカスが聞くと男はブーニーハットを被り、パークレンジャー上着を脱いでオリーブ色のジャケットを着る。


「こっちの方が解りやすいですかね?貴方の護衛を任された、対特定特殊セルリアン部隊、隊長のコンです」


「コンさんでしたか、お暇でしたらこれから1杯如何でしょう?」


コンは唐突の誘いに少し困惑する。


「何故そんなことを、」


「いつものお礼ですよ、このビルの二階にオススメのバーがあるんです」


「はぁ…」


一応護衛対象に着いていく名目でコンはルーカスに着いていくことにした。


~バー~


バーの雰囲気は西部開拓時代のバーによく似ていた。


酒も旨かったし、値段もそれ相応にふさわしい物だった。


「…所でコンさん、私の人工サンドスターがかなり使われているとお聞きしましたが、それは具体的にはどの様に使われているのでしょう?」


コンは自身の腰を指差す。


「腰についているこのナイフ、私のは少し違いますが、フレンズ用のナイフにはフレンズとのシンクロ率を高めるために人工サンドスターが含有されていますよ」


コンは酒を少し呑むともう一度口を開く


「正直助かってます、今までは天然のサンドスターを強引に抽出する実験ばかりで一向に進展がなかった計画が一気に人工サンドスターのお陰で解決されたんですから」


ルーカスはコンの話を黙って聞いて時たま酒をちょびちょび飲んだ。


「私の人工サンドスターがフレンズ達のために利用されるなら本望です、さて、そろそろ良い時間ですし…」


そうルーカスが立ち上がろうとした瞬間、背中に何か押し当てられる。


「人工サンドスターの精製方々を吐け」


ルーカスが後ろをむくとそこには黒いコートを着て、顔を隠した男が立っていた。


「残念ながら、それは言えない、君達のような下劣な連中が使える物じゃないからね」


「言わなければ死ぬぞ」


男は更に強くルーカスの背中に押し付ける。


「それはどうかな」


コンは酒を置くとゆっくりと立ち上がる。


「お前、何のつもりだ」


「…」


次の瞬間男の肩にナイフが刺さる。


「グッ!!」


怯んでいる間に蹴りをかまし、カウンターに叩きつける。


「がっっ!!テメェ!」


男はさっきまで隠していた銃を堂々と構える。


しかし、コンは一瞬で銃を掴みスライド本体に分解した。


そして、足を引っ掛け、地面に思い切り叩きつける。


男は気絶した。


「…刺客を排除、ああ、手配してくれ」


コンはそう無線で話すとルーカスに近づく。


「私が来て正解でしたね」


「助かりましたコン隊長、人工サンドスターを開発してから脅迫文や情報開示の強制などが増えましてね…」


「当分は安全なところにいた方が良いでしょうね」


コンはルーカスを立たせて外に向かわせる。


外には既に軽装甲車が到着しており、数人の隊員が敬礼をしていた。


「ルーカス博士を基地に送ってくれ、しばらくは彼処が安全だ」


部下の一人は頷き、運転席に回る。


しばらくすると先程の刺客の男が出て来た。


その男はトラックのような車に乗せられ連れて行かれた。


(人嫌いと聞いたが、今日はやけに友好的だったな…)


~セルリアンハンターズ基地~


基地内の移住区にルーカスは到着し、厳重体制のまま一夜が過ぎる。


翌朝、コンはいつも通り基地内の射撃場に立ちリボルバーで15m先の的を全弾命中させていた。


コンがイヤーマフを外すと後ろから声が聞こえた。


「大した腕ですね」


「…博士、こんな所に何をしに来たのですか?ここは貴方のような科学者は余り来ませんが、」


「少し聞きたいことがありましてね」


ルーカスはポケットからメモを取り出す


「答えられることは答えますが」


コンも腰のホルスターに銃を戻してイヤーマフを射撃場のついたてに掛ける


「フレンズ特殊部隊のアムールトラ中隊長にお目にかかりたいのですが」


コンの眉毛がピクッと動く


「アムールトラ中隊長ですか、一応念の為何故アムールトラ隊長と面会するのか、理由を伺って良いでしょうか?」


「今度の実験の為に周囲のフレンズの避難誘導等を行って貰うためです」


コンは少し考えてから口を開く


「…成る程、解りました掛け合ってみます」


ルーカスはよしよし、という感じで頷くと


「では、私はこれで」


と行って射撃場を去って行った


コンは再びイヤーマフを付けて今度はM4を的に向けてタップ射撃し始めた。


ワンマガジン撃ちきると肩を叩かれる。


コンが振り返るとほっぺたに指が突き刺さる


「よぉ、コン」


「ハブか…何の真似だ」


ハブはクククと笑うだけで何も答えない。


「まあいい、ハブ、それよりももっと大切な事があってだな」


「何だ?」


ハブはようやく笑うのをやめ、話に耳をかたむける。


「アムールトラ中隊長にルーカス博士を会わせたいんだが構わないか?」


「ルーカス…ルーカス…ああ!あの所長の!それが何で?」


「今度の実験で周囲のフレンズが近づかないように周辺避難を任せたいそうだ」


「ほーん…」


ハブは余り興味なさそうに答えると


「ま、俺から言っとくよ」


と言って射撃場のスペースに立ち銃を構える


「イヤーマフはつけないのか?」


コンはイヤーマフを差し出すがハブは「いらね…」と一言言うと銃の引き金を5回連続で引く。


的の中心に全弾命中した。


「流石、オセロットにしごかれただけはあるな」


「まあな、リボルバーは絶対に使わないが」


コンは少し笑ってからハブの肩を叩く


「ま、リボルバーにも良いとこあるんだから少しは見方を変えろ」


ハブは銃を自分のホルスターにしまうとコンを方を向く。


「…コン、ルーカスの事だが、ここも危険かも知れないぜ」


「…何故だ?」


ハブは一枚の写真を見せて言う。


「人工サンドスターの技術が外の奴等武装組織にバレた」





















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