第3話「生きる」

 楽しいことをしている時でも辛いことをしている時でも、ふと自分や自分以外の人間の存在について考えることがある。私には私の意思があって、私以外には私以外の意思がある。みんな同じように生きているけど、みんながどのように生きてきたかは分からない。私たちの意識とはどこにあるんだろう。何故思考して、体を動かすことができるのだろう。ゲームとは何が違うのだろうか。死んだらどうなるんだろう。意識が消滅すると消滅したことにすら気が付かないのだろうか。ならば、『死』とは何なのだろう。誰しもに訪れる。しかし、誰も体験はしたことはない。輪廻転生なんて、誰が考えたんだろう。違う、話が脱線しすぎだ。今私がこのように思考を巡らせていることすら不思議だ。不思議なことはたくさんあるのに誰も分からないから答えは導き出されない。自分という存在で生きているのに、何故もう一人の自分を作り出して、ゲームの中に入ったりするのだろう。この世界、自分自身がゲームのキャラクターみたいなものではないのだろうか。だとしたら真面目に生きる必要なんてないのでは?いつでもデータを消してやり直せばいい。交友関係が悪くなったら転生。都合が悪くなったら転生。ストレスを感じたら転生。何が駄目なのかは分からないが、それが駄目だということだけははっきりと分かる。では、今思考している私とは、誰なのだろう。

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