夢
幼ない頃によく見ていた夢。
ベッドの下をくぐるとその先には、
絵本の様な世界が広がっていた。
宝石のように煌めいていて、眩しくて、
それでいて、
水彩で色を塗ったかのような優しさもある、
そんな世界。
大人になるにつれて、
その夢は見れなくなっていった。
それが寂しくて、
その夢が恋しくて。
あの夢はもう見れなくなってしまったけれど、
瞳を閉じるとその夢の光景が甦る。
はずだった。
あれだけ何度も見ていたはずなのに
もうあまり鮮明に思い出せない。
それどころか、
本当にそんな夢を見ていたのか。
その記憶すら曖昧なことに気がついた。
でも、それでもいい。
本当は見ていなかったとしても、
美化されてた記憶だったとしても構わない。
あの世界への憧れの気持ちは本物だから。
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