第102話 エリザダンジョン6
心なしか10階以前より暗く感じる土のような道を歩いていく。見た目は土だが、石の様に固い。土の壁からはみでている根っこの様なものも単なるオブジェクトらしく、見た目とは裏腹に固いから気を付けなければいろいろひっかけてしまいそうだ。
しばらく進むと、コツコツと靴のような足音がする。この階層にはまだ冒険者たちは来ていないはずなので敵なのだろうか? 薄暗い場所から徐々に姿が見えてくる。そして、姿を現したそれは……。
「なんだ、マネでは無いか」
「あら。皆さんお揃いですね。どうされました?」
「いや、我達よりもお主こそなぜこんな場所に? ライカの研究所を守っているのではないのか?」
「守っていますよ? この階層がライカ様の研究所ですので」
「エリザ! あんた何してくれてんのよ!」
ライカは一瞬で何かを理解したらしく、エリザの胸倉をつかもうとする。ただ、エリザは現在10cmくらいの妖精モードなので胸倉をつかむというか、つまむというか……。
「えっとー、マネちゃんにご協力いただきました、みたいな?」
「それはいいのよ! 10階層以降でドロップアイテムって私のマジックアイテムじゃないわよね!?」
「…………黙秘権を使用します」
「却下よ! 有罪よ!」
「だ、大丈夫よ。あれは複製だから……。本物はちゃんとマネちゃんが保管している……はずよ」
「マネ、それは本当なの?」
ライカはバッとマネを見る。マネは人形のため表情は変化しないが、心なしか汗を垂らしている気がする。
「おおむね大丈夫です」
「おおむねって何よ!」
「ちょっと! 確認させなさい!」
「まあまあ、それは帰りにでも……」
「黙れ!」
ミレの制止に怒鳴り返したライカは、マネに詰め寄る。マネも観念したのか保管庫の方へ移動するようだ。
そして保管庫。
「……何よ、ちゃんとあるじゃないの」
「だから言ったのにー、やーい、ライカのはやとちりー」
エリザの挑発にピキリと青筋を浮かべたライカだが、そこは大人の対応というかなんというか、ぷるぷるしているが殴りかかる様なまねはしなかった。まあ、殴りかかったところで意味は無いだろうが。
「……じゃあ、マネ。おおむねって何だったのよ。おおむねって」
「以前よりもマジックアイテムが増えたという事です。冒険者から奪……頂いたものがあります」
「ちょっと、いま奪ったと言わなかった?」
「いいえ。ちょっとモンスターのマネをして冒険者を倒し、ドロップアイテムを拾っただけです」
「それは犯罪……なのかな? 冒険者も同じような事をモンスターにしてるわけだけど……」
「とりあえず、無事だったのだから良いのではないか? それよりも先に急がぬと魔王がどうなるか分からぬぞ?」
「そうだ! あたいの為にも急いでくれ!」
こうしてマジックアイテムの疑惑は晴れた訳だが、マネはこのままで良いのだろうか?
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