第103話 エリザダンジョン7

11階層から19階層までは割愛しよう。特に目新しいものは無かったからな。結局11階層でマネと別れ、12階層から出るパペット共を倒してきただけだ。マネがモンスターを真似たというだけあって、メインは人形がモンスター化したパペットばかりだったからな。エリザいわく「壊れても修理しやすいから」だからだそうだが。


さて、20階層のボス部屋の前に来た。10階層と同様にボスだけは恐らくまともなモンスターなのだろう。10階層の首が増えたケルベロスではない子犬がまともかどうかは分からぬが、雑魚では無いと思う。


「みんなー! 準備はいい? いっちゃうよー!」

「何故ダンジョンマスターのお主が仕切る?」

「だって、このパーティのリーダーは私でしょ?」

「いつの間にそう決まったのだ?」

「それじゃあ、リーダーは誰?」

「そんなもの………………ノロイに決まっているでは無いか」

「やけにタメが長かったけど……本当にノロイがリーダーなの?」

「あ? 俺がリーダー? そんなもの引き受けた記憶は無いぞ」

「なんだかんだで仕切っていたでは無いか」

「そうか?」

「そう言われると、仕切っていたような、仕切っていなかったような……」

「俺は俺のやりたいときに指示するだけだ」


なるほど、行動指針がある時だけのリーダーなのか。目的以外の時は確かにノロイはリーダーではないどころか、戦闘にすら参加しないほうが多かったな。


「それじゃあ、私がリーダーで文句ない? いっくよー!」

「文句はあるが、他に適当な者もおらぬから仕方ないか……」


ミレを見たが首を振られ、ライカを見たが目をそらされ、アクアやエンカにリーダーをやらせるわけにもいかず、我がリーダーをやるには今の現状では厳しい。消去法というやつでエリザに任せるか……。あやつのダンジョンだし、悪いようにはせんだろう。


そう思って20階層のボス部屋に入った。すると、10mくらいの大きなゴーレムが鎮座していた。座っていてこれなら立ったら20mくらいになるのではないか?


「……本当に、冒険者に倒させる気はあるのか?」

「やーねー、もう。冒険者の時はもっと小さくするに決まってるじゃない」

「お主! いや、今更言ってもそれこそ今更か……」

「そう言う事、じゃあ、がんばってね!」


エリザがボス部屋の扉を閉めると同時に、ゴーレムが立ち上がり始めた。

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