第49話 青いオーガ
「この先の街と言うと、クラマの街だろう?」
「そうなるわね」
我達が街の名前を聞いたのは初耳だが、ミレには行き先が決まっていたようだ。
「クラマって言うと、奇妙なお城がある街ね」
ライカも街自体は知っていたらしいな。奇妙なお城と言うのは、普通の城は石がメイン材料だが、クラマの城は木がメイン材料らしい。燃えたりしないのか?
「俺が仕えている殿様が居る街だ」
「それより、服を弁償しなさいよね!」
アクアはキールにつっかかっているが、先に勝負を挑んだのはアクアの方だし、自業自得じゃないか?
「真剣勝負だから、それは知らん」
ほらな。アクアはガルルッとキールに唸っているが、誰も相手にしていない。そうしているうちに、崖の上にオーガが数体出てきた。
「まだいたのか」
キールは刀を構え、我達も対処できるように構える。戦闘力の低いミレを中心に、四方を固めた。
少しなだらかになっている崖の斜面を下ってきたオーガに、さっさとトライデントを突き込むアクア。オーガの脇腹に刺さり、そこから渦巻き状に細切れになっていく。思ったよりもジャベリンの性能が良かったようだ。
「ライトニング・ジャベリン」
ライカもアクアの武器を真似て槍状の雷を投擲した。ジャベリンが刺さったオーガはしびれて動けないようだ。ダメージを与えるよりも行動を阻害するほうを選んだのか?
ノロイは棺桶を盾にしてオーガの攻撃を防いでいる。隙を見てオート・マタを使い、足元を攻撃させているようだがダメージはあまり無いようだ。
「フレイム・ピラー」
我はオーガ1体を消し炭にした。すると、今度は赤いオーガではなく、青いオーガが出てきた。普通のオーガの2倍はでかい。青いオーガは、崖をそのまま飛び降り、キールの目の前にドスンと着地した。
「ボスのおでましか?」
キールはアクアを真っ二つにしたように、青いオーガも刀で一閃するが、キンッと表皮ではじかれる。
「固え!」
「ライトニング・ランス」
ライカが放つ雷の槍も、表皮ではじかれる。物理耐性も、魔法耐性も備えた皮膚とはやっかいだな。
「フレイム・ランス」
我も炎の槍を撃ち込む。ライカとは桁違いの威力にはじかれはしないものの、表皮が焦げただけだ。それも、効いたように見えただけで、しばらくすると再生した。今の我の開放度は1%だから、大抵のモンスターなら余裕のはずだが。
青いオーガは、長い腕を地面にたたきつけると、地面が割れた。防御力が高いだけではなく、攻撃力も高いようだ。
「おいおい、この谷ってこいつが殴った跡じゃないよな?」
キールがそう言うほど、深い亀裂が走っている。さらに青いオーガはグッと力を溜めると、我に急接近した。そして、フック気味にパンチを繰り出してくる。
攻撃自体は見えていたので、我は腕を強化し、交差させて受けるが、吹き飛ばされて崖の壁に十数mもめり込んだ。
「マオ!」
それを見たノロイが心配して声をかけてくるが、腕の骨が折れただけだな。
「ミドル・ヒール」
「マオが怪我するところ、初めて見た」
確かに、最近は余裕だったからダメージを受けることは無かった。魔法を使ってもダメージを受けるのは本当に久しぶりだ。
「解放するか?」
ノロイがそう聞いてきたが、たまには接戦というやつをやってみたい気がする。それを求めて自らを封印したのだしな。
「このままでいい」
我はそう言うと、右手に魔力を集めた。
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