第37話 ダンジョン1階

「お、転移魔方陣か?」


見ると、魔方陣だけがある部屋だった。何故壁の中にこんなものが?


「魔法陣が気になるわね」


エリザがすでに魔法陣の方に近づいて行っている。魔方陣は、人が一人立てればいいくらいの大きさで、白い線が浮き出ている様だ。書いてある文字は……。


「へー、これ、ダンジョンマスター専用の魔法陣よ」


「分かるのか?」


「分かるわよ、これでも神だもの」


我が読む前にエリザが答えを言ってしまった。何かあるごとに神を強調するな、エリザは。


「じゃあ、使えるようにできるか?」


「ダンジョンコアに登録しないと無理ね。この部屋が閉ざされる前に一旦でましょう」


先ほど我が壊した壁が、少しずつだがウニョウニョと治り始めている。完全に治ってしまうと壊すのも大変だが、真っ暗で何も見えなくなるな。


「アイス・フリーズ」


壁を一時的に凍らせて固めると、皆慌てて脱出した。幸い、壁の前にはモンスターもおらず、一旦休憩する。


「それじゃあ、普通に攻略するしかないわね」


「いや、そうでもないぞ」


ノロイはいつの間に描いたのか、ダンジョンの見取り図を作ったようだ。


「俺がソナーを利用して作った物だ。もし、扉なんかで塞がれてたら分からないが、この階は階段まで通じているようだ」


「へぇ、器用ね」


「ねえ、ギルドで働かない? 地下深くのダンジョン地図は結構高価で売れるわよ!」


「地図を売るくらいなら自分で稼ぐわ! それはそうと、ほら、見てみろ。ここと階段までの部分を直線で繋ぐと、階段まで壁が2枚しかないから掘った方が早い」


「そういと思っていた。ならば、壊す速度を上げるためにもう少し魔力を解放してくれ」


「じゃあ、1%で」


「まあ、いいだろう。グラビティ・ボム」


0.1%解放では使えないような、高威力の魔法を唱える。壁が2mほど魔法の中心に向かって圧縮されると、そのまま爆発する。破片が飛び散り粉塵が舞う。しばらくして粉塵が収まると、壁に大きな穴が開いていた。


「ごほ、ごほ、この粉塵を先に何とかしろ!」


「レイン・ウィンド」


我は水と風の複合魔法を唱えると、粉塵を吹き飛ばすとともに、再び巻き上がらないように湿らせた。壁をくぐり、もう一つの壁にたどり着く。


「じゃあ、もう一回頼むぞ」


「グラビティ・ボム」


こうして我達はダンジョン1階を攻略した。

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