ビリースタイン

ビリースタインと呼ばれる協会員の正式の名は、ウィリアム・ジェームズ・スタイン。


この名前の人物は1945年、81歳の時に心不全で亡くなったことがボストンのピックマン記念病院のカルテで確認できる。


記録上は死亡しているが、実際の彼は未だ生存している。

それは協会総裁チャールズから伝授された『人の生贄を捧げ寿命を超えて肉体を保つ魔術』を継続して使用している効果だ。

ビリースタインは総裁を除いた中では最古参の協会員であり、強力な魔力を有する恐ろしい魔術師だ。

協会を支配する参議に加入する資格は充分だが、自らそれを辞退し続けている。


参議は協会の最高意思決定機関である議会に参加可能で、現在8名。

参議は協会の全体を把握できるが、行動や活動範囲は制限される。

ビリースタインはそれを厭い、リーダーに留まっている。


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協会はその運営において、リーダーの独立性とその裁量権を非常に重視している。つまりリーダーが率いるチームの内情は、参議にしか把握できない仕組になっていて管理が徹底されている。


リーダーは、他のチームのことを殆ど知らずに任務を遂行する。そしてそれは自分たちの活動も同じように制約されていないことを意味する。


つまりビリースタインは、制約の厳しい運営陣の参議より、危険だが自由な現場のリーダーであることに、協会員としての価値を見出していると考えられる。


とはいえ協会の重鎮たるビリースタインは、リーダーといっても破格の扱いだ。

彼は実質4人のリーダーを統括する立場にあるのだ。

実質と表現したのは、形式上は彼が統括する4人のリーダーは『ビリースタインのチームのサブリーダー』という扱いになっているからだ。

サブリーダーが2、3人いるチームは存在するが、ビリースタインのチームのサブリーダーたちは、明確に固定されたメンバーを配置され、その独自の裁量権が保証されている。

もちろん保証しているのは協会ではなく、リーダーであるビリースタインだ。


このようにビリースタインには特別な権限が黙認されていて、参議になるとデメリットの方が多い。

協会としても強力な魔術師であるビリースタインが実戦指揮から離脱するのは、戦力低下だと考える意見が根深いのは確かだ。

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