堕ちる(3)




久々に人と会うことになり近所のカフェに来た。

店内には誰かすぐ分かる声が響く。






「久しぶりだね、ヌナ」





3ヵ月ぶりの彼は中身の無邪気さは変わっていなくても随分大人に見えた。





「ほんとだね。

今まで連絡出来なくてごめんね」


「お互い忙しいんだから仕方ないよ

それより今日会うことシュガヒョンに言った?」


「言ったよ」





言ってないけど。







「体の調子はどう?」


「だいぶましになったよ」


「よかった、みんな本当に心配してたから。」






得意の笑顔。

大丈夫、バレてない。





「時間合ったらまたみんなでご飯食べに行こ」


「うん、行こう行こう」





ホソクが帰ってから二時間ほどカフェの椅子に座ったままただカップを眺めていた。






外を出るともう真っ暗で。


あぁ、大変だ。

病気が始まった。





嫌だ、嫌だ


頭の中に響く言葉とは裏腹に体は車道に向かっていく。





あと一歩という所で体に衝撃が走る。

見るとそこには見慣れた顔があって。





「お前、何してんだよ」


「ごめん」


「謝れなんて言ってないだろ、何しようとしたのか聞いてるんだよ」


「私、私っ」





泣いてる私を見たユンギは驚いた顔をした。






「死にたくないよ、私死にたくない」


「死ぬな、ずっと俺の隣にいろ」





ごめんなさい、ユンギ。



あの時泣いてたのは私だけじゃなかったよね。

あなたも泣いていた。



息が出来ないくらい強く抱きしめられたその日、初めて生きていることを実感した。


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