堕ちる



午前四時、目が覚める。


目がヒリヒリして痛いのにまだ涙は出て。







「もう、勘弁してよ...」





これ以上泣きたくない。

息が苦しくなるしあなたの顔が思い浮かぶ。



''もっと話しておけばよかった''なんて、ドラマでよくあるような後悔までして。






隣には彼がベッドに顔を埋めて目を瞑っていた。




「忙しいのにごめんね」





お風呂に入ろう。もう2日入ってないや。

立ち上がりベッドから出ると腕を掴まれた。





「どうした?」



さっきまで寝てたのに、虚ろになった瞳はしっかり私を捉えている。





「お風呂入ってくる」


「こんな時間にか?」


「入りたいの」


「明日入れ」





私の腕を掴む力は変わらないままで、離す気無いみたい。

一人の時間が欲しいなんて言ったら怒るよね。





「やだ、今入りたい」


「じゃあドア開けとけ」


「変態」


「変態でもいいよ、お前の死体見るより」




あぁ、バレてたんだ。


ほんと賢い人。

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