友人Nの話
「え?怖い話?別にいいけど」
「この前さ、あたしそこの商店街を真夜中通って帰ってきたんだよね。え、なんで通ったか?近道だから。そんなの決まってんじゃんかよ。まぁいいや、それで通ったの。え?そんな真夜中まで外に居たのか?居たから通ったんだろ。は?いつからお前は不良になったんだ?なってねーようるさいなぁもう!!お前から聞いてきたんなら大人しく聞いとけよ!?はぁ?友達が夜遅くに出歩いて心配だぁ?いつもは心配もなにもしないくせに…あーはいはい、親のお使いですよ。親がコーヒーを買ってこいって。もうこれでいい?話進まんよこれ…。そう、それで通ったの。もうこのセリフ何回言ったよ今日だけでほんと…ちょ、まってなんか買ってくる。なんかいる?奢るけど。んあ?りんごジュース?子供だなぁ…」
(友人N、一旦席を外して近くの自販機に飲み物を買いに行く)
(戻ってきて一息休憩。ティータイム)
「はい、じゃあ続きだよな。んで、ほら、そこの道暗いじゃん?だからあたしにしては珍しく怖かったのよ。は?嘘だ?嘘じゃないってば。それでまぁ、通ったは良いんだけど、なんか変な空気したんだよね。いや、変な気配か。もちろん誰もいないよ?誰もいないんだけど、そこにいる、みたいな…まぁ、確実に人じゃないよね?判ってからあー、またかー…みたいな感じで。でも今まで憑かれたことなんてないし、無視してたら勝手に消えたからその日も同じようにしてたの。そしたらさ、唯一の灯りだった街灯が急にぱって消えてさ。そりゃもう焦ってコーヒー落としたよ。んで、拾おうとしゃがんだ時なんだけど。
伸ばした手の先に誰かいんの。
もちろんこの世のもんじゃないよ?でもおかしくない?普通なら足が視えるじゃん?そーゆーのでも。でもさ。
そいつ、どう見ても手で歩いているんだよ。
おかしいだろ?逆なんだよ。反対なの。つまり足が手になってるってことなんだよな。で、あたし気付いたの。これ、やばいやつだって。事故死も事故死だよ。悲惨なんてものじゃない。ほら、お前だって覚えてるだろ?新聞に小さく載ってたやつ。は?覚えてない?見せたじゃんか…。バイク乗ってて崖から落っこちたみたいな。思い出した?いや思い出してないんかーい。ならなんで今あっ!って声あげたんだよ…。ともかくそいつなの。崖からさでくり落ちてるもんだから手と足がぐちゃぐちゃになって、遺体が見つかった時は手が下で足が上になって捻れてた正反対のカッコしたやつ。それでほんとにびびってさ…もう慌てて走って帰ったよね。はい、おしまい。ほら缶かせ、捨ててくるから。あ、このお礼にといってはなんだけど、今度あたしの作ったコスプレしろよ。ん?拒否権はなし」
20××年×月×日 とある公園にて
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