第10話 穴の底!

 メイドさんたちがこっちを見て、驚いている。

「あの子、また国王にのかしら」

「私にはくないわ」

 なんて言ってる。

 あの国王、まさかメイドと夜な夜な?なんて考える自分がいた。

 いやいや、今はカムの事を考えねば。


 走って数分、城がとてつもなく広いことに気づいた。

 まさかと思っていたが、美女と野獣に出てきそうなその城は1日歩いても覚えれなさそうな広さ。

 うわぁぁぁぁ。こんな広いのにだれにも聞かないで走ってたんか。

 近くには何もなく、ただただ壁壁壁。扉なんか1つも付いちゃいない。

 設計者はバカなのか? こんな広いのに扉なんか1つも無いなんてよ。

 とりあえず道なりに進んでみよ。


 ある1つの廊下。絨毯が真っ直ぐに敷かれた廊下。

 廊下の先は暗くてなんも見えない。

 その廊下の絨毯の下になんかの気配がした。

 ペラッと捲るとそこには扉。隠し部屋かなんかか?まぁ、開けてみる。

 ブワァと空間に広がる血の混じった臭いと共に暗い空間。うぅ、血の臭い。吐きそう。

 その空間から聞こえたのはカムの声?

 ドンとか押されたらまじで洒落になんな―――…。

 ドン…。

 いや、まじで押されたよ?フラグ回収ってやつだね!

「ふざけんなッ!」

 なんて言っても意味が無かった。

 私は落とされ(何メートル落とされたか分からないが)、ドン!と打ち付けられた。

「いったたた……」

 上を見上げると、開いているはずの扉が無い。

「閉めやがったな……」

 周りを見渡しても暗すぎて何も見えない。

 この穴には松明なんて物は壁に刺さってない。ましてや月明かりなんぞ見えない。

「いや……、これ詰みゲー」

 こんな場面、アニメで見たことはあるが、大抵、出口がある。

 壁登れば何とかなるってやつではない。

「カム……、ごめん……」

 私は力尽くかのように倒れた。

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