第9話 放し飼い

 精神ね、精神。まぁ、クリアできるんとちゃいますか?

 どうやらカムも―――あれ、カム。

「あ、国王さま。カムはどこですか?」

「あー、ツインカムのしてた方じゃな?」

 放し飼い? 放し飼いなんかい!?

 つか、ツインカムだったんか?

 ツインカムに聞き覚えのある方、もしや例の86トレノじゃないですか?あれ、ツインカムですもんね。

 まぁ、置いといて。どこだ?

「実はカムは――…、生きておるよ。じゃがな、この先はわしの出る幕じゃないのだ」

 なんだ? いきなり口調変わったぞ。

「わしの出る幕じゃないのだ。本当なのだ。国王って言ってもあの人間は容赦ないのだ。しょうがないのだー」

 よく分からなくなってきた。だって、国王は位で言うと一番上なはずだ。でも、言うことを聞かないとなると……。

「あいつらは人間じゃないのだ。生き物を貪り食う。生け贄として。だから、この国の秩序を保ってきたのだー」

 まさかだったが、カムを生け贄として捧げる事があるからカムは村で少し怯えていたんだ。

 それで、何気ない日々に祝福が訪れたって言っていた。

 私は居ても立ってもいられなかったので、立ち上がりバーンッ!と扉を開けて走り出した。

 後ろで「のだー」になった国王が何かを言っていたが無視して走り出した。

 せっかく、祝福が訪れたカムのためにだだっ広い城の中を走り続けた。

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