第4話 村

 でかいのにゆらゆら揺られ、眠くなってきた頃、小さな村みたいなのが遠くに見えた。

「ねぇ、君寝てないよね?」

「寝てないわよ! 寝たとしたらでかいのが悪い! ゆらゆら揺らしてさ!」

「僕はでかいのじゃない! カムだよ! 村つくから起きてて!」

「分かったわよカム」


「おぉっと。カムが来たぞー!」

 カムが木々を掻き分け、いかにも村って感じの広さに入った瞬間の声だった。

「こんばんは! 村人さんたち!」

 カムは元気よく言った。

「こんばんは、カム。お腹すいたでしょ!」

 優しそうなお姉さん村人が言った。

「うん! でも、その前に……」

 と私に降りろと促した。

「よいっしょ」

 と私はカムから降りた。

「ぎゃー! カムから人間が産まれたわ! 誰と事を運んだの!?」

 まてまてまて。お姉さん、何かを勘違いしてるような気がする。

「違うよ! この人はここに来たんだって!」

 あたふたしながらもカムは言う。

 私も何か言おうとすると

「まぁまぁ。飛ばされたとはどういう事かな?」

 と一番(権力が)強そうなおじさんに問われた。

「えっと、普通に起きて普通に準備して普通に家を出たらここの世界に……」

「分かった。で、家はどこかな?」

 おじいちゃんは再び問う。

「えっと、ここから多分……」

「出た時間は?」

 正直、太陽がどうので時間は見ていない。

 あ、そういえば……。

「鏡よ鏡よ鏡さん。私が出た時間は?」

「午前8時です」

 鏡さんはトーンを低く言った。

 調子悪いなぁと思いながら、

「8時だそうです」

「はっ8時ぃぃぃ!?」

 いきなりおじさんがそう叫んだ。

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