第12話~12
本社からやってきたのは何度か現場で会った上司で当たりの強い人。そしてもう一人は人事の人で二人とも部長職と言っていた。。年齢は30歳~40歳手前といったところか?言ってみれば、もし、私が早く産めば子供世代といったところか?
若い起業家が若い世代を集め運営している会社。。という事になるのだろう。。
しかし、この「若い」という意味合いが「新しい」と置き換えたなら。。
この時はそんな置き換え等思いつかず、若いな~ぐらいにしかおもわなかったのだけれど、わたしにとって大きな気づきになるとは?この時は想像できなかった。
話し合いのはじめは私の期待していた今回の事についての挨拶的話は一切なく、
何というか無機質な無味無臭とでもいうか?聞き取り調査的な始まりだった事で。
一言私が言った。
「今迄に散々下の上司に話してきたことです。」というと。。
これまたピシャリ。。
「実際に聞かないといけない。最初から話してください。」だったか?
心の中で思ったのは、何度話せばいいのか?面倒に思った。。
と同時に駆け引きなどどうでもよくなった。。
コチラの希望を言って、相手の考え方を聞いて、その上での落としどころを話して。等散々考えたがどうでもよくなったというか?どうせ辞める覚悟は出来ているのだから。。この際言いたいことを言いたいとおりに話そう。。
ただ、看護師を早急に辞めさせたい。。相手が辞めると言っているのだから早々に決断してもらいたい。。その確約が出来てしまえばあとは警察に届を出すだけ!
そして私も職場を去る覚悟は出来ている。。
しかし、もし、私が人生で大きな十字架を背負わされていなかったなら?これは想像の域を脱しないが、被害届を出す等したいと思っただろうか?性被害というモノの恐ろしさなど無関係の人生だったなら。。。今回何度も考えた。
フラッシュバックしたなら、その時の悲しかった事。。苦しかった事の再現だけなのだろう。。
でも、何度もフラッシュバックし、フラッシュバックがチャンスであるとしてその時の感情を書き換える訓練を余儀なくされた身としては、単にフラッシュバックしただけではなく、その時代のいろんなものをひっかきだすように集め、このままではいけないとして一歩でも二歩でも前進するキッカケを探し出そうとしてしまう。。
「輪廻」。。泣き寝入る訳にはいかない。何度も繰りかえす性被害。。もう無いだろうと思い込んでいてもこのありさまだ。。と言う思い。。次は?
私は子供の居ない人生。。私より15歳も年上の旦那さん。。
将来、私を守る人が居なくなった時、その老婆の私が認知症にでもなって、又形を変えて私は性虐待を経験し、最初から最後まで不条理という同じ事の繰り返しで幕を閉じるのだろうか?
そう言う訳にはいかない。だから、人生で一度くらい被害届を出さねば。。と思い込んだ。。
さて。。何が起きたか?の話を終えた私は後で話すはずの落としどころの話から始めた。
被害届は出す代わりに警察とも何度も相談し、利用者様への聞き取りと言う段になって届を撤回しますから、せっかく最初の聞き取りで利用者様の居ないタイミングを計ってくれると言っているのだから警察と連携をとってほしい事。。
私は昨年からこの事業所で働き続けるかどうか何度か悩んだ事があるがしかし辞めるつもりは無い事。何故なら来年にはもう一つ上の資格試験を受けたいから。。新しい職場に移ればその職場の段取りや利用者様情報を一から覚えなおさねばならない。。勉強の妨げになる事は避けたいから仕事は退かない事。。。そしてこの看護師との仕事を避けるため月曜有給休暇にしているが、本来、この有給休暇は試験が近くなる頃と講習を受ける際に使いたいので看護師と会社の決着を一日でもはやく付けてほしい事。。これらの条件は落としどころの話ですから譲れない。と言うこと等だったか?
そして何故警察への被害届となるか?については「輪廻」の話として手短に私の性虐待の話を幼少期から順を追って話した。
そして何故?介護の仕事にこだわるかは私の父への思い、この複雑な一言で片づけられない状況を考えた時、親の介護を経験出来ない私が人様の介護の手伝いをする事で私が優しく接すればきっと父も優しく接してくれる介護者に巡り合えると信じたいからと言う思いが無いわけではない事。も含め、お年寄りという者を知りたいから介護職なのだという事。
昨年から誤解されているかもしれないが、私が歌ったりしたことは単なるパフォーマンスではない事。勿論今は歌わないが、小躍りしたり、カラオケのセリフの部分を言えと言われればマイク無しで言いますが、コメディアンのつもりで笑わせているのではなく、むしろ、日常の介護の仕事の姿があって、そこに非日常的なちょっとした出来事が重なって笑いにつながっている事。。大事なのは日常の方である事等。も話した。
利用者様にも色々事情がある。
決して恵まれた環境と言えない方も居る。。私の父も私が放棄しているのだから恵まれた終末とは言えない。
だから、私は他人様を笑顔にしたい。
そういうつもりで日々仕事をしているその職場で、こんな痴漢行為。。
単に触られた。と言うだけでなくそういう思いまでも汚された気持ちであるということまで話しました。
後は初動での聞き取りの際、言われた私の心療内科受診の理由や、私の病名についても病名が付かない状況を含めて話した。
勿論、触られる方に問題あり。や。辞めると言ってくれている等と言われた事で傷ついた話などもしました。。
話している間、当たりの強い方の部長の重要ポイントの速記力に驚いた。
無味無臭、無機質に思えた言葉が、そうではないのだ。と感じ始めた。
相手に話させる能力だったのか?私はまんまとはまってしまいました。
それに加え思いもよらない言葉が。。
「最初に紫ぐれさんの気持ちに配慮できなかったことについて申し訳なく思っています。」だったか?それは最後では無く、私が話している
どこかの時点で言われた事で私は多くを語ってしまったのかもしれない。
すべて話し終えて、後は看護師から聞き取りをして結果を又報告に来ます。なるべく早くしますからと言う返事を聞き、お開きになった時には概ね3時間が経っていて、
残り少ない業務を終えて、お疲れ様でしたと帰りの挨拶をした時の事。。
「紫ぐれさん。大丈夫ですか?生きていられますか?」
と聞かれた。。
「その次元は随分昔です。勿論どこかの時点で時間はストップしていますが、それでも随分大人ですから、大丈夫です。」と答えた。と同時に、
心の中で凝り固まっていたものが、溶けていくような感覚。。と同時に
似たような言葉を昔、言われて心に響かなかった事を思い出した。
その言葉は「生きてくれていてありがとう」だった。。
自助ミーティングに初めて行った時、言われたし、今度は初めて来た人に声掛けする時はそう言わないといけない?的な言葉?後、ネットの自助サイトでも掲示板でも最初に言われた。。「生きてくれていてありがとう。」
そして何かを検索して誰かが励まされているやり取りの中でも出てくる「生きてくれていてありがとう」
きっとそういわなくてはいけないって決まり事だから心に響かないのか?
それとも私が変わったからなのだろうか?
私にもわからないけれど、この日、「生きていられますか?」と言われた事。。
これはかなり心に響いた。。。。
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