A.M.



布団とかいう棺に潜るのは、きっと何かから逃げたいと思うからで。その中でイヤホンを繋いで耳を塞いでしまえば、もうこの世に俺が存在すると言うことはできない。


流行りの音楽は聞く気になれない。多少時代遅れでダークなポップスが心地良い。シャッフル再生で流せば、何時間経ったかも忘れられる。


重くて深いベースが耳に突き刺さる。熱く激しいドラムは脳髄を掻き回した。身体中を隅から隅まで穿き潰すこの感覚が、気持ち悪くて、堪らなく大好きなんだ。


明るくなくていい。どす黒くたっていい。ただ自分を消してくれたらそれでいい。その為の棺に入ってるんだから。


時折膝の下に猫が潜り込む。あぁ、俺と同じ?だったら仲間だな。良いじゃないか、たったこれぽっちで幸せだ。


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