第18話 ひばりと魔界−B

「ここが魔界ね! なんというか色々と禍々しい感じがして最高に魔界って感じがするわ!」

「何を意味のわからないこと言ってんの。あたしらはメアを救出に来たんでしょ」


 スケベな満月が浮かぶ常闇の世界に到着したひばりとアリカはまずメアの居場所を探すことから始めた。


 魔界の繁華街らしき場所には多数の悪魔で賑わっており、彼らは姿形も様々だった。

 その中で身体中から触手を生やした一人の悪魔がひばりに近づいてくる。


「ねえねえ、君いくら? おじさんと遊ばない?」

「失せろこの軟体動物」

「ぶびゃあっ!?」


 だが、触手悪魔は話しかけた瞬間にキレたひばりによって蹴り飛ばされた。


「ひ、ひばり! 初対面の人……じゃなくて悪魔を蹴るのは流石に酷いわよ!」

「あたしたちは急いでいるんだからこんなナンパに構っている暇ないよ。ラプチャーに関する情報を集めないと」


「ま、待った! 君たち、もしかして、あの伝説のサキュバスを探しているのか!?」


 ひばりたちが先を急ごうとすると、先程蹴られた触手悪魔が二人の行く手を塞いでそんなことを言い出した。


「伝説のサキュバス? あんた、ラプチャーを知ってんの?」

「もちろんだ! アスモデウス家のラプチャー嬢のことだろう? 彼女はかつてこの魔界のトップに君臨した超高級娼婦だからね!」

「娼婦が世界のトップ? 何よそれ。おかしくないかしら?」

「いやいや、そんなに珍しいことでもない。サキュバスは大抵人間界に降りるが、そいつらは快楽に溺れた低級な奴らで、優れた才能を持つ者はこっちで魔王なんかの相手をする高級娼婦になるんだ。そういうサキュバスは初めての仕事まで処女のまま育てられ、缶詰のような生活をしながら技を身に着けさせられるんだとよ。ラプチャー嬢は一万年に一度の才女と呼ばれるほどのサキュバスで一晩抱くだけでも魔王嬢がもう一軒建つくらいのお金を積まないと相手をしてもらえないんだ」

「……たかがサキュバスとか思っていたけど、ラプチャーってとんでもない奴じゃないか」

「アスモデウス邸なら、この繁華街を抜けた先にある高級住宅街の一番大きなお屋敷だ」

「ひばり聞いた!? アスモデウス邸に行けばメアが見つかるかも!」


 ひばりは頷き、触手悪魔からの情報を頼りにアスモデウス邸へと向かった。


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