第17話 ひばりと魔界−A
「メアをなんとかして助けないと!」
アリカはひばりの肩を揺さぶって喚く。
「アリカ、まずは落ち着きなよ」
「なんであんたは冷静なのよ! メアが連れ去られちゃったのよ!?」
「冷静にならざるを得ないじゃん。だって、魔界の行き方なんてわかるの?」
「……そもそも、魔界って何? メアって何者なの?」
ひばりはアリカにメアとの出会いやこれまでの出来事を全て話した。
「――と、言う訳で、あたしはメアにビッチだと勘違いされているということさ」
「なんだか聞いているだけで頭が痛くなってきたけど、理解は出来たわ」
「とにかく、今は魔界に行って、メアを助け出す方法を考えないと」
「…………それなら、たぶん私、魔界に行く方法を知っているわ」
「えっ?」
アリカはひばりを自宅に連れて行く。
「いつ見てもお前の家はでかいな」
「感心している場合じゃないでしょ! 確か、書斎に魔界について書かれた本があったと思うわ。昔、一度読んだきりだったからよく思い出せないけど、魔力の濃いものだったからきっと本物よ」
「魔力って、アリカはどうしてそんなことがわかるの」
「言ってなかったけど、私の一族って魔女の家系なのよ」
さらりととんでもないことを言ったアリカは豪邸の書斎に辿り着き、記憶を頼りに書架の中から一冊の本を見つけ出した。
「あったわ! これが例の魔導書よ!」
「でかした! ええと、なになに?」
一刻も早く魔界に行く手がかりを探そうと二人はペラペラとページをめくっていくが、彼女たちの顔はだんだんと赤く染まっていく。
「こ、この本ってもしかして……」
「いえ、これは我が家に伝わる由緒正しき魔導書よ」
「どう見てもエロ本じゃねーか!」
ひばりは裸の女性が描かれたページを開いて魔導書をアリカの顔面に叩きつける。
「ちゃ、ちゃんと、魔術的なことも書いてあるわ! ほら、ここに!」
アリカはページの隅に蟻のような字でオマケ程度に書かれた文章を指し示す。
「本当にこれが魔導書なの?」
「恐らく、ここに書かれている儀式を行えば、魔界への扉が開かれるはずよ」
二人はゴクリと唾を飲み、二重の意味で見てはいけないものを見る背徳感を覚えながら本を読み切った。
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