第3話 ハッピーエンドな異世界召喚

この話は ハッピーエンドで終わる異世界召喚転生の短編です。

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彼は、子供、孫、玄孫、来孫、そして昆孫に囲まれ111年という長き人生を終えた。

彼の魂は、体から離れそして天に登ろうとしていた。

だがその時、彼の魂は空間にぽっかり空いた穴に吸い込まれていく。


「わしゃ、ばあさんのいる天国に行くんじゃ、地獄なんてまっぴらなんじゃー」


非情にも魂だけの彼は、その力に逆らえずその穴に吸い込まれていった。


そしてトンネルのようなものを超え、そして松明の日だけが光源の壁や床も石で組まれた

殺風景な部屋に吐き出された。


「勇者様、こちらの声が聞こえますか?」


「湯者?なんじゃそれは?ここは地獄なのか?地獄ならあまり厳しいのは勘弁して欲しいのじゃが・・・」


「ここは地獄ではありません。あなた様のいた世界とは違う世界アーストンです。」


「あーすとん?なんじゃそれは?」


「わかりやすくいえば、あなたの世界でいえばおとぎ話の世界、過去の勇者様のお言葉を借りれば不思議の国のアリスの世界のようなものです。」


「よーわからんが、わしはこれからどうなるんじゃ?」


「勇者様には、この世界を滅ぼそうとする魔物  ジャバウォックをたおしていただきたいのですが」


「わしゃただの老人だし、お役にはたたんんとおもんじゃが」


「いいえ?それは素晴らしいことです。」


「なんでじゃ?」


「RPGゲームというのをご存知ですか?」


「あーばーさまがハマって孫とやってたやつじゃな、なんか色々やると数字が上がってつよくなるファミコンのゲーム」


「ええそれです。この世界はそれに非常に似ています。」


「いくらゲームの世界でもこんな老いぼれは役に立たんだろう。」


「いいえ、そんなことはありません。ちなみに勇者様のご年齢をお聞かせいただけますか?」


「わしゃ111歳じゃの」


「そ…それはすごい、歴代最高ですね。」


「まあわしの国でもわしが今の最高齢だったからの」


「これはぜひともお願いします。」


「こんな老いぼれが役に立つのかの?」


「役に立つどころではありません、歴代最強の勇者様」


「歴代最強?歴代最弱じゃないのかのぉ?」


「この世界についての説明がまだなので、わかりませんよね。ご説明させていただきます。まずこの世界にはレベルというものがありますが、この上限が寿命とリンクしており。寿命が長いものほど高レベルになることが可能です。」


「寿命の件はわかったのじゃが、この老いぼれでは役に立たんとおもうのじゃが?」


「ご心配いりません、まだご自分の状態を正しく認識していただけてないと思いますが、今あなたは魂だけでこちらの世界に来ております。」


「お・・そういえばわしは死んでる幽霊だったのじゃ」


「まず、あなた様には、こちらの世界で転生をしていただきます。」


「転生というのはなんじゃ?」


「こちらの世界で子供として生まれ変わってもらうことです。」


「わしはそれでもいいかも知れんが、それは誰か生まれる子供が犠牲になるのなら嫌じゃのぉ」


「ご心配ありません。こちらの秘術を使うことで女性のお腹に宿るので、そのようなご心配はありません。」


「わしをお腹に入れて産むなんて、その女子に失礼ではないかの?」


「いいえ、ぜひ勇者様をお産みになりたいという女性がおりますので」


「気味悪がられたりしないかのぉ、あと流石に赤ちゃんからのやり直しというのはきついのじゃが、あとそんな悠長にしとれるのかのぉ?」


「気味悪がられたりはしないので大丈夫です。やり直しとはいえサポートされますしその点は絶対大丈夫なことを保証します。猶予についてですが、前勇者様が倒せはしませんでしたが、封印を行いあと20年は時間が稼げておりますので」


「そこまでいうなら考えてもいいのじゃが、なんでわしなんじゃ?」


「前勇者様のご指名です。」


「前勇者のご指名?」


「ええそうです。前勇者様のご指名で、10年前より毎年召喚の儀を行いお待ちしておりました。」


「え?」


「そろそろ前勇者様が召喚成功のご連絡を受けて来られますので、詳しくはお二人でごゆっくりお話しください。」


「もしかして前勇者様というのはわしの知人かの?」


「ええ、あなた様の死別された奥様ですよ?」


「え?」


「私の限界レベルでは足りないけど、うちの旦那なら絶対100才超えるから呼べばいいと」


「ちょっとまってばあさんここにいるの?」


「ええ、おいでますしこれから転生後にあなたのお母様にもなられる予定ですよ。」


「・・・マジで?」


「マジです。通常だと勇者様とはご納得いただけるまで条件を詰めて契約を行うところですが、前勇者様からグダグダいってたらアレをばらすよといえば問題ないとお聞きしていますが。」


「ちょっと待ってアレは勘弁して!!」


「なら無条件で合意ということで、こちらも話が早くて助かりました。」


「わしばあさんの子供として生まれるの?」


「はい、その予定です。その後大きくなったら、再度結婚を前勇者様がご希望です。」


「ちょっと待って…わしそんな特殊なプレイ…」


その部屋に飛び込んでくる10代前半の少女

「爺さんやっと来たんだ。これからママとおよび〜」


「か・・・かんべんしてくれー」


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いやぁ、奥様大勝利、奥様からするとハッピーエンドですね。

なお旦那はハッピーエンドの為の犠牲となったのじゃ

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