進路選択で間違えた…

「真雄、政府が創設した高校に行ってみないか。」

「何故ですか。俺は既にいきたい高校は決めているんですが。」

「それは何度も聞いたから先生も知っている。お前の成績ならその高校に行くことは出来るだろう。でもな、お前の力が何も騒動を起こさないと言えるのか。」


先生はやはり俺の能力を気にして案を出してくれたらしい。


「騒動を起こすかも知れませんが自分は普通に生活をしたいんです。政府の創設した高校がどうなのかよく知りませんが、そんな特別的な高校には行きたくありません。学費はどうなるんですか。」

「それなら心配無用、その高校は全員寮に入ることは義務付けられるが、学費、寮費、生活費は国が免除してくれる。」

「は、それって…。」


学費から生活費まで国が免除してくれるってどういう事なんだ。自分の欲しいものまでは流石に無いだろうが、そんな高校が存在していいのか。国ってことは税金から支払われるってことだよな。いくらなんでもその高校の待遇良すぎるのではないか。国民からの反発はないのか。とそのときは思った。


「まあその高校は特殊でな。普通の高校ではあり得ないんだけどな。」

「じゃあその高校ってなんなんですか。」

「その高校は…。」


先生は説明してくれた。政府は異能者を欲しがっている事、その高校は表向きはパソコンの技術や美容師、日本文化、多くの芸能を学ぶ高校として創設されたが特別科という異能者しかいない教室があり、その生徒だけが免除されている事、俺はその特別科に入らされる事等。先生も詳しくは教えてもらってないらしく、その高校で何をするのかは、知らされてないらしい。知らされてないという事は、何かあるって事だろう。


「よくわかりました。でも、何で先生はその高校を知っているのですか。」

「政府の関係者を名乗る人が来てぜひお前に入って欲しいと言ってきたんだ。どうやらお前が小学校の時に起こした騒動を聞き付けたらしい。誰が話したかは知らないけどな。」


政府関係者で思い出したが、同級生に確か政治家の息子がいたな。


「説明有難うございます。でもすみませんがその謎がある高校に俺は行きたくありません。」

「どうしてもダメなのか。」

「先生何かあるのですか。」

「えっと…俺は交渉とか説得とか苦手なんだよな。もうこの際話してしまうが、お前を説得できれば政府から補助金が学校に送られてくるんだ。それを学校は欲しがっている。いくらかは言えないがまあ高額だからな。」


この中学校は全校生徒約300人近くいる。政府からお金を補助してもらうほど貧しくないはずだ。それなのに学校は何故欲しがるのだろうか。やはりお金はあった方が良いということなのだろうか。


「話は分かりました。でも俺の成績なら、志望校に行けるはずです。だからその件は、。」


続きを話そうとした時先生が割って入った。


「これは先生としても囮のような気がして言い出せなかったんだが、政府はお前の母親の入院費さえも見てもいいと言っていた。」

「政府って…。」

「まあそれほどお前の異能を欲しがっているんだろう。お前の異能の使い道は知らないが、俺も生徒を政府の為に生贄に捧げるような事は苦に思う。だから本当はこんな交渉はしたくないんだが、上がやれって。」


会社は上司の命令は絶対らしいが学校の先生も上の命令は絶対らしい。先生のやりたくないんだよって気持ちが態度でよく分かった。まあ交渉する気があんまりないのは最初からわかっていたけど。母の入院費をみてくれると聞くと少し心がざわつく。俺のせいかもしれない母の植物状態で父に負担かけるのは申し訳ないと思っていた。母が元に戻る可能性があるのかどうか分からない状態でも生きていて欲しいと父が頑張っているのは分かっている。少し嫌な感じだが父の為にもここは受け入れよう。


「なんか人質に取られた気分ですが、先生俺、その高校受けます。えっと試験とかあるのですか。」

「受ける気になってくれたか。なんか大人の事情も含めてすまないな。これで俺も少しは楽になりそうだ。真雄本当に有難うな。これからの人生に関わることなのに本当にすまん。えっと試験は頑張ってきたお前に対して悪いが無いぞ。面接は少しある、いや、面談と言うべきか。まあ我が高校で何をしたいとかそういうものではなく、お前の事を少し聞くそうだ。」


確かにぜひ来てくださいとわざわざ言ってきたのに試験があるとかは流石に無いか。まあ勉強しかすることがなかった俺だし、特に気にしないが。面談では何を聞くのだろうか。面接ではないから準備は必要ないかな。


「分かりました。あと1年ちょいある中学校生活をのんびり過ごすとします。」

「学年1位まで登り詰めたのに自分の志望校に行けなくてほんとすまないな。」

「大丈夫です。」


そして俺は1年間をのんびり過ごした。でも学年1位は譲る気はなく、常に1位だったが。そして3年の最後の1月。面談である。俺はその政府が創った高校に足を運んだ。


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