俺は何処かでやり方を間違えた
キサト
生まれてから間違えた…。
俺、八重 真雄は生まれつき異能を持っていた。
「あなた、あなたの子よ。」
「そうか、お前に似て可愛いな。」
「あん、そうかしら…。」
「どうかしたのか。」
「この子を…抱いていると…気持ちよくて…。」
そう俺には触れた相手に快感を与えてしまうという不思議な力が備わっていた。そのせいなのか、俺が幼かった時に母は謎の植物状態に陥り、今も病院で寝ている。原因は今でもよく分からないままだ。医師も安楽死の線を父に話したらしいが、まだ望みが有るのなら延命処置は続けて欲しいと医師にお願いして今に至る。
そして俺は政府が創った高校に今から入ろうとしていた。どうしてその高校に入る事になったのか経緯をまずは話そうと思う。かなり前になるが、小学校入学時の出来事から始まる。
「次の子、自己紹介お願いね。」
「うん、僕は八重 真雄。えっと僕に近付かないでください。」
そう言うと俺は座った。この頃既に自分の異能に気づいていたのだ。気づいていただけで流石に理解はしてなかった。先生が近づいてきた。
「どうしてそんなこと言うのかな。」
「先生、僕にはパワーがあって僕に触れるとね可笑しくなっちゃうんだ。」
「君にはパワーがあるんだね。でも近付かないでとか言っちゃダメだよ。友達増えないよ。」
そう言うと先生は頭に触れようと手を出してきた。
「先生触れちゃダメ。」
俺は後ずさりして避けたが、先生はお構い無しに触れてきた。
「君は本当にパワーがあるの…う…。」
先生の様子が変わった。俺から手を離すと自分の下の部分を気にした。
「先生、少しトイレにいってくるから戻ってくるまで友達と会話していてね。」
先生はそう言うと急いでトイレに向かった。どうやら感じすぎてしまったらしい。
「先生どうしたんだろうね。」
「わかんない。」
クラスがさっきの事でざわめき出した。俺は先生の事が気になって教室を出ていこうとした。するとクラスの女子に話しかけられた。
「ねぇ、真雄君だっけ。さっき先生に何かしたの。」
「なにもしてないよ。先生が僕に触れてきただけ。」
「本当にパワー有るの。」
するとその女子は俺の腕に触れてきた。俺は払いのけたが遅かった。少女の下から水が垂れている。
「うえーん、漏らしちゃったよー。」
「どうしたの。」
するとクラスの連中が集まり出した。それから俺に触れるもの、漏らす者、倒れる者等相次いで増えてきた。先生が戻ってきた時にはクラスはとんでもない惨状となっていた。なんとか先生は場を納め、皆を席に戻した。
「えっと、今日はお仕舞いです。また明日元気にお会いしましょうね…。後片付けは先生がやっておくからね。」
「はーい。」
なにもしなかったクラスの同級生が返事をした。そしてその日は急遽帰らされた。これが初日の出来事である。次の日俺が登校すると先生に呼び出され、別教室で生活を送ることになったことは言うまでもない。それが中学卒業まで続いたのだ。9年間ぼっち生活だったので高校は騒動を起こさないように普通に生活しようと考えて偏差値の高い高校を選んでいた。ぼっちで特にすることがなかった俺は、勉強しかなく、成績は学年トップだったので偏差値の高い高校でも進学出来た。しかし。これは中学二年の高校を決める進路相談の時の話である。
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