第4話

 俺の名前は大志。日本人だ。


 物心ついた頃から俺には「健」という幼馴染がいて、隣に住んでいた。

 俺は悩み事ができるといつもベランダに出て一人になる。そうするとなぜかいつも隣のベランダには健がいた。

 ひとりになりたいからベランダに来るのに、何故か健には心を開いてしまっている自分がいた。


「今日はどうしたんだよ。 」

 健が俺に問いかける。

「そうだな。 今日は将来のことかな。」

「将来?」

「そう。大学の事なんだけど、アメリカの医学部に行こうと思っていて。 」

「アメリカ?!まあ、お前なら行けるだろうけれども、ご両親は許してくれるのか?!」

「あぁ……。」

「 大志、そんなこと考えたんだ。初めて知ったよ。」

「誰にも言わなかったから。」

「大志が考え事とか悩み事ある時はいつも俺に話してくれていたから大志の事、何でも知っでるかと思ったていたけど。」

「さすがにな。俺にだって言葉に出せない悩み事もあるさ。でもまたこれも、健に一番最初に打ち明けるんだ。普通の医療じゃなくて、俺、特殊体質者の研究をしたいんだ。」

「……特殊体質?」 

「そう。」


ーーーーーー


 俺は今、三十代になる。そして、人には言えない研究を続けている。


 特殊体質者の人体実験だ。

 いや、実験というより、もはや拷問だ。

 俺は悩みだしていた。

 こんな酷たらしい事を続けてよいのだろうか……と。

 そんなある日だった。

 俺の研究所は、離島にある病院。

 一人の青年が連れてこられた。

 彼は興奮すると目が青くと赤く光って全身の血管が浮き上がる。

 彼は、実験の途中で暴れ出し、その後、彼を拘束した後は彼への実験が無くなった。

 そして、俺は長期休暇をもらった。

 休暇を終え、久々に研究所へ戻ると、研究所は焼き払われていた。研究所には監視カメラが設置されていたしので、もしかしたらそのデータが残ってるかもしれない。俺はノートパソコンを開いて、監視カメラのデータが残っていないか調べてみた。するとそこには、あの青と赤に目が光る青年が映っていた。そこには、研究所内のドクター達を次々に暗殺していく映像が映っていた。

 ……もし、休暇じゃなかったら。

 俺も彼に殺されていた、のか?

 彼はどこへ行ったんだろう。

 心のどこかで逃げ出したいと思っていたこの環境。

 彼が……本当の意味で俺を救ってくれたのかもしれない。

 

 なあ、健。

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