”不滅”の由縁
「やっちまえー! シルバ!」
「アレクセイ様! ご武運を!!」
兵士達の激励を背に、アレクと共にモータルへ挑む。
「
「何!!?」
無駄撃ち出来ない状況で、【三顧の撃】の回数を減らせない魔法を撃たれて、モータルが驚きを浮かべる。
確かに
「
渾身の魔力を込めた
「おのれ!! 小癪な!!!」
視界不良と直撃に怒りを浮かべ、長剣と尾を振り回し、辺りを警戒するモータル。
スキルの再装填まで時間を稼ぎたいのだろうが、同じ手が通じる保証は無いので畳みかける。
散々、見た
「
まさか遠距離で撃てる魔法を、至近距離で使われるとは思っていなかったのだろうモータルは、接近戦に来るのは
だから、
実際は、モータルよりも
結果、至近距離での回避不可の
「今です!! アレク!!!」
「おおおおお!!!!!」
再装填の時間を与える訳にはいかないと、この
「舐めるなよ!! 人間どもが!!!! スキルが無くとも、易々と倒される”不滅”のモータルではないぞ!!!」
胸倉を掴んでいる俺に目もくれず、白銀の長剣を振り上げ、斬りかかるアレクを見据える。
「ぬっ!?? ぐあぁぁあぁ!!!?」
【三顧の撃】の効果が消え、未だ降りしきる
決まった!! と、誰もが思った瞬間
「
モータルを中心に、まるで華が開くように土の杭が次々と飛び出し、アレクは吹き飛ばされる。
「アレーーーーーーク!!!??」
「スキルに使っていた魔力を使えば、これくらい造作も無いわ!!」
終わった。 と、誰もが思ったが
俺だけは、命懸けの賭けに出る覚悟を決めた!!!
ーー魔装・
モータルと一人で戦っていた俺には、モータルのユニーク・スキル無しの実力が良く分かっていた。
万が一にも作戦が破られる可能性の為に、最後の五本目のマナ・ポーションを飲みながら準備していた。
俺の魔力の全部を使って発現する
そのありったけを拳に込め、モータルの顔面に叩きこむ!!!
「
勝ち誇った笑みを浮かべたモータルが、白銀の盾と兜に防がれた俺の拳に噛みつく。
「惜しい。本当に惜しい! このまま、私に血を吸われて絶命し、毒を流し込まれたら、物を考えない眷属になってしまうなんて」
「……掛かったな」
ニヤリと、拳から血を吸われながら笑う俺を、モータルが不審に思う。
「負け惜しみですか? 貴方は、もう終わ……ぐふぅ!!?」
吐血しながら、
生前の俺のように、いつ死んだのかも分からなかっただろう。
「
既に物言わぬモータルに、やり遂げた満足感を静めるように淡々と告げる。
「毒で死んだ俺以降を再現し、
即座に解除したが、生前と合わせて二度目の毒に耐性が付いているか、スキル越しだから耐えられるかは、大きな賭けだ。
今はまだ生きているが、眩暈や吐き気、身体中の倦怠感、悪寒、激痛に苛まれているが、そんな事より、アレクの安否が優先だ。
モータルが死に、主を失ったゾンビが死に、戦いが終わった兵士達がアレクを取り囲み、介抱している。
「やあ、シルバ。君の奥さんのおかげで、助かったよ。今度、お礼を言いに行かないとね」
傷は塞がったが、失った血液のせいで顔色は悪いが、生きていた。
生きていてくれた。
「帰りましょう。奥様と、お嬢様の所に。私も、レオナの所に帰りたい。彼女の安心した顔が見たい」
流れ出る涙を止められず、止めようともせず、お互いに笑い合っていた。
「さあ、負傷者を介抱して、帰り支度だ。死んだゾンビ達も1ヶ所に集めて、焼却しなくては疫病が発生するかもしれん」
アレクが戦後処理のために、不調の身体で陣頭指揮を取る。
戦いの緊張から解放され、弛緩した空気が流れていた。
「な……馬鹿な……!?」
「我が、ナは、不メつ、NO、モーぉぉオ、たぁァル!!!」
モータルが"不滅"の二つ名の由縁を、遺憾なく発揮していた。
「こいつ!? 自分を
「オぉうオぇぉぉあ!!!」
雄叫びを上げ、串刺しにしたアレクごと剣を振り回す。
「早く!! 誰かポーションをアレクに!!! モータルは、俺がなんとかする!!!」
幸いにも、刺された以上に傷口を拡げられる前に剣が抜け、少し離れた所に落ちるアレク。
落ちた衝撃で吐血したようだから、まだ生きているはずだ。
だが、モータルをなんとかしなくては
なんとかしなくては、なんとかしなくては、全員が死ぬ!!
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