三顧の撃

 ーーユニーク・スキル【三顧の撃】ーー


 どんな威力、効果の攻撃だろうと二回まで完全に防ぐことが出来る。

 使用者の以下の攻撃では、回数は減らない。

 使用中は光る球体が出現し、使用者以外にも残り回数や範囲を教えるといった制限が有る。

 使用者を殺せる武器、魔法、実力を持つ者だけに球体は見える。


 ーーーーーー



(大体、こんな感じのユニークなのだろう。デメリットも有るが、圧倒的にメリットが勝っている。強力なスキルだ)


「どうした! このままでは、ジリ貧だぞ! 諦めて、我が眷属となれ!!」


 三本目のマナ・ポーションを飲みながら、現状を分析する。

 現状、俺が同時に発動できる魔法、スキルは三つが限界だ。

 モータルの攻撃とゾンビ達の対処に【狼の魂】、ユニークへの牽制に縫いつける氷の楔ウェッジ・ソウ、ゾンビの数を減らすために何かしらの魔法を使う。

 モータルのユニークの再装填時間から考えても、ジリ貧なのは明らかだった。


(当初の予定に無い3本目を飲んでるのに、モータルが出てきてから、ゾンビの数を20程しか減らせていない。レオナが、余分に作ってくれてなかったら、と思うと寒気がする)


 仮にゾンビが居なくなり、モータルに集中できたとしても、モータルの白銀装備に相性の悪い【狼の魂】は威力に欠けてしまうが、回避と防御の為に切らす訳にはいかない。

 残る二つで削れたとしても、足りない!!



 そう、一手が足りない。


「!? なんだ!? 眷属達の反応が」


 モータルが眷属達の反応の異変に気付いて、怒気を込めた視線を投げかけてくる。


「シルバ! 貴様、嘘を!? 1人で来たのでは、なかったのか!!」


とは言っていない。とは、言ったかもしれないがな」


「貴様! 屁理屈をー!!!」


【偽装】(偽)を使った会話で、まんまと騙されてくれたようだ。


「進めー!! サテラ様の加護の元、邪悪を打ち払えーー!!!」


「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」


 俺に集中していたモータルが接近に気づけなかった援軍が、怒涛の如く雪崩れ込んでくる。

 指示が無ければ統率も対応力も無いゾンビに詳細な指示を出すために、モータルが俺から距離を取った隙に、アレク達に確認を取る。


「誰か!! 敵の指揮官蛇野郎に、光る玉が見える奴は居ないか!!」


 運命で決まっていたようにアレクだけが、モータルのユニークが見えていた。


「奴を殺す可能性のある攻撃を加えようと考えると、玉が点滅して、威力が足りているか判断できます」


 球体の点滅は攻撃者にしか見えてないようで、モータルは喰らってみるか経験や勘で、威力を判断しているようだった。

 それは俺が、確かだと思う。

 時間も無いので、軽い打ち合わせと作戦を立てて、最終局面に向かう。



 俺達もモータルも、邪魔が入らないよう自分達以外を戦わせて、実力者だけで決着を付ける作戦になったようだ。


「モータルのスキルは、個で対抗できる者が居ないと無敵だ。”泥土”のマンダラと言ったか。尖兵にモータルを選んだのは的確だね。彼が攻めきれない地域に勇者が居るなんて、情報にもなるんだから」


「我が主への賞賛は有り難いが、そろそろ始めさせてもらおう。眷属達の数が減ってしまうのでね」


 俺のモータルへ届く攻撃は三発、アレクが二発、全部が上手く当たるとも限らないが、モータルの命に届く回数は満たしている。


 ーー宝剣・フランベル・ーー


 オスカーの形見、ヴォルフ家の宝剣の紅き刀身のフランベルを抜き放ち、アレクが吠える!


「ヴォルフ家6代目当主、アレクセイ・ヴォルフ!! 領民の安寧の為! 此処で、貴殿を討たせてもらう!!!」


 ーー魔装・顕現フルカウル・ーー


 自分のユニーク・スキルをまで発動し、四本目のマナ・ポーションを飲み干す。

 既にモータルへの名乗りは済ませているので、自分の分は省略だ。


 ーー【三顧の撃】ーー


「我が名は、魔王軍四天王が1人! ”泥土”のマンダラ様が配下! ヴァンパイア・ナーガの”不滅”のモータル!! 相手にとって不足は無い!! 我が眷属として、やろう!!!」



 お互いに名乗り上げを済ませ、戦いは最終局面へと……







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