02

 夫との、子供が欲しかった。


 最初は、ただ彼のことが好きで。ずっと求め続けていただけだった。


 本当は、わかっていたのかもしれない。彼の優しさが。その繊細な雰囲気が。いつかこわれてしまいそうな、割れてしまいそうな気がしていたことに。


 子供がいれば。彼に生きる意味を与えられるかもしれないと思った。同時に、彼がいなくても、わたしが愛せる誰かがほしいと思った。


 どこまでも、浅ましい、私の気持ち。


 一方的に彼を求めて。


 一方的に彼を愛して。


 子供を欲しがって。


 そして彼は、もういない。


 いないのに。心は、彼を求める。身体は、彼を愛そうとする。どうしようもなく、浅ましい、わたし。


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