愛されなかった窓辺、その日、果たされなかった願い
春嵐
01 愛されなかった窓辺
夫がいなくなってから。もうしばらく経つ。
いつも、彼のいた窓辺に座っている。
リビングの奥。海の見える窓辺。
いつも彼は、ここに座って。窓の外を眺めていた。
彼は泳げないし、潮風も好きではなかったのに。それでも、海の景色だけは好きだからと、この窓辺を作った。
窓を閉めていれば、風は入ってこない。潮の匂いもしない。海の景色だけを、楽しむことができる仕組み。
わたしは海が好きで、よく泳ぐ。潮風も、海の匂いも、好きだった。
彼がいなくなってからは。外には出ていない。この窓辺に、ひとり座ったまま。
彼のことばかりを、考えて一日を過ごす。
もう戻らない、日々を。
ここに彼がいた、日常を。
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