第8話

家に着くと、斎さんが玄関からやってきた。相変わらず歩いていないのに上品にやってくるな。亡くなる前は公家の家だったのだろうか?

斎さんは過去を話したがらないから未だにそこはなぞなのだ。親父は知っているのかな?式神とは信頼関係が大切だというし。信頼されてないと式神に逆に食われるからな。


「朝食は食べますか?」


「いやコンビニで買ってきたので大丈夫です」


恐らくねるに聞いているのだろう。俺は朝食を食べないことを斎さんさ知っているからだ。


「まぁ幸気さんが幽霊と買い物なんて珍しいですね。いつも私以外の幽霊とは関わるのも面倒みたいな顔をしてるのに。幸気さんは幽霊にすかれやすい体質なのに」


そう俺は力がないのに幽霊を呼びやすいのだ。いくつか前の当主もこの体質だったらしい。だが力があったため特に問題なく対処をできていたみたいだが。これは家にある蔵書から見た。


「たまには幽霊と外に行くのも悪くないと思ったので。ねるは他の幽霊と違そうですし」


斎さんは目を細めた。俺の言ったことを成長をした子供のように感じたのだろう。少し照れ臭いな。俺は自分の部屋に向かった。ねるは浮きながらついていく来るがなぜか嬉しそうだった。


「さて食べるか、ねるは焼きそばパンだよな。開けれるか?」


「うん昨日斎さんに教わったからできるよ」


一日で開けれるようになったのか。相当出来がいいみたいだな。他の幽霊は開けるのに一ヶ月はかかる。うちに仕える幽霊は協力だがそれでもだ。


ねるは目に力をいれて念じながら綺麗袋を切った。するとキラキラした表情でパンの魂を取るとパクリと食べた。んーと言って幸悦とした表情を浮かべていた。


「そんなに美味しいか、パン屋のパンの方が美味しいと思うが」


「私はいろんなものを生きてるときに食べてきたけどこれは相当美味しいよ」


安舌なのか、それとも久しぶりにパンを食べたから美味しく感じてるのか、まぁたぶんどっちもだろうが。俺は焼きそばパンの脱け殻を捨てた。脱け殻を食べても味はしないからな。早く本体も食べれるようになってほしい。


少ししてねるが食べ終った。俺は何をすればねるは成仏できるだろうと考えていたが、ねるのやりたいことをやれば成仏をできるだろうと思い考えるのをやめて、ねるに何をやりたいか尋ねた。


「うーんカラオケっていう場所に行ってみたいな♪」


俺は見るからに嫌そうな顔をした。だってあそこ幽霊の巣窟なんだもん。カラオケがたっている場所は昔何かあったのか知らないが地縛霊がいるのだ。


「なんでそんなに嫌そうなの?」


俺をしたから覗き込むような感じで聞いてきた。あざとすぎるわ。まぁ女子慣れしてない俺には効果抜群なんだか。俺は顔を赤くしてるだろう。


「あそこは幽霊がいやすいんだよ。霊脈も幽霊がいやすい感じになっているし」


昔一人でカラオケに行って大量の幽霊に囲まれながら歌を歌った。あの時は音楽を歌っている歌手ってこんな気分なのかと思いながら歌ったな。しかもあいつらたまに叫び声をいれてくるからうるさかった。男に恨みをもった幽霊なんて恋愛関係の歌を歌うと泣き出したからな。めんどくさくて1時間でカラオケをてだからな。


「大丈夫だよ。近づけないように結界を張っておくから」


結界張れるのかよ。俺は張ろうとしたことがあるができなかった。霊力を上手く練れなくて。親父からはまぁ仕方がないという感じの顔をしていたな。


「まぁそれならいいが、もうやってるし行くか」


時間はフリータイムでいいか。俺は幽霊に邪魔されないなら案外楽しみではある。だって邪魔されないで気持ち良く歌うことができるからな。


俺は自転車に乗ると、松戸に向かうため馬橋駅に向かった。俺の行くカラオケは幽霊がまあまあでるが、結界を張ってくれるなら安いし問題はない。


ねるはふわふわと浮きながら俺の自転車のペースに付いていく。それ便利に感じる。浮くだけで疲れ感じないそうだし、俺も空を飛んでみたい。だって空を飛ぶって男のロマンだろう。だが何故かねるは俺の自転車の荷台をちょくちょく見ている。


「なんだ?2人乗りでもしたいのか?」


「うん、特に学校に2人乗りとかで行ってみたかったの」


学校まで付いていくつもりかよ。だが俺の知り合いに幽霊を見れる奴がいるからそいつに見られるとめんどくさいんだよな。あいつ幽霊だろうが美少女だったら県境なくナンパするし。


「まぁ帰りなら2人乗りいいぞ。体重感じないし」


するとにぱーとした笑顔になりねるは喜んでいる。俺はその無邪気な笑顔に萌えた。まさか俺が二次元以外で萌えるときが来るとは。ねるの笑顔の破壊力は強力だ。まぁ俺が女子に耐性ないというのもあると思うが。それを差し引いてもねるの美少女ぷりは半端がない。


そんなことを考えながら自転車を漕いでいると馬橋駅に着いた。


ていうか俺一人で喋る変な奴だと思われてないだろうか?いや思われてるな。こっちを見ながらヒソヒソとしてた奴が昨日からいたし。普段は幽霊を無視してるから問題ないが、今回はねるがいる。念話がてきればいいんだがさすがにこれをできるようになるにはそれなりの歳月がかかる。どう対策するか。イヤホンを付けて話すか。今は携帯を耳に当てなくても電話てきる時代だからハンドフリーだと思われるだろう。


「自転車駐輪場に止めないの?」


「ちょっと考え事をしてたんだ。止めるぞ」


俺は自転車を駐輪場に止めて、改札をスイカでとおった。ねるはそのまま改札を透けながら通った。無料で電車に乗れるっていいな。どこまでも行けるじゃん。俺はぼっちだしいない存在のように扱われるから幽霊でも変わらんし。だが誰にも話しかけられないのは辛いな。俺はぼっちだか知り合いは少ないがいるし、誰とも喋らないで何10年もさ迷うのは辛い。そう思うと幽霊に話しかけられたら会話ぐらいしてやるかと思った。いやでも喋ったら付きまとわれてポルターガイストを起して気を引こうとするからなしだ。俺は生きてる女子に好かれたい。


そんなことを思いながら電車がきたのでねると一緒に乗った。


















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