第3話
にしてもこの少女珍しい幽霊だよな
俺は家に向かう道で少女を見つめながら思った。
すると視線に気がついたのか少女はこちらを不思議そうに首を傾げながら
「どうしたの?幸気くん」
「いや、珍しい幽霊だなと思ってな」
「そうなの?どこにでいる普通の女子の幽霊だと思うけど」
俺は苦虫を噛み潰したような表情をした。
「幽霊っていうのは大抵思いだけの塊や取り憑いて悪さをする奴らだよ、後はこれが1番厄介だか助けを求めて見える奴につきまとう奴らとかな」
少女は何かを察したのか大変だったんだねと呟いた。
「まぁ、察したと思うが俺は幽霊は嫌いだ。成仏できるようには協力はするが馴れ合うつもりはないからな」
すると少女は悲しげな表情をした。だか何かを閃いたのか眩いほどの笑顔をして俺の前にすーと浮いてやってきた。
「その悲しい過去を忘れられるぐらい楽しい思い出を私と作ろう!」
俺はこれまで見たことがないほどの笑顔に見惚れた。だが相手は幽霊だとすぐ思い出して俺はやれるもんならやってみろと言った。少女は頑張るばいと長崎方言で可愛らしい声で言った。
俺は今更だがなんで名前を知ってるのか疑問に思った。
「なんで俺の名前知ってるんだ、俺のアプリには顔写真と好物しか載ってないんだか」
少女は目を見開いてから
「私のところには名前から趣味まで載ってるよー」
『なんで俺のところはないんだよ、神様のことだからこんな不具合起こんないはずだしわざとか、だとするとなんのためなんだ。名前やいろんなことを聞いてコミニケーションを取らせるためか。
「名前なんて言うんだ?一応今後のために書いておきたいんだか」
すると少女は目を細めて芙蓉のような笑顔を浮かべた。
「私はねるって言うんだ」
「下の名前かよ、俺女子と話してないから呼びづらいんだが」
ねるは柔らかい表情した。その笑顔可愛い。だが幽霊だ。騙されてはいけない。幽霊は欲深く、気に入らないことがあると問題を起こす。ポルターガイストを起こせる分厄介なのだ。
「大丈夫そのうちなれるよー」
何日も千本ノックをして監督にいつか慣れるみたいなニュアンスで言われた。慣れるのが幽霊なのが癇なんだが。俺生きてる人間の彼女がほしい。
「まぁ、いいやねる俺のうち普通とはちょっと違うが覚悟しろよ」
多分幽霊だから修行にもおそらく駆り出される可能性があるしな、可能性で終わって欲しいが。と言うより俺がいろいろ教えなきゃいけないからめんどくさい。
「大丈夫だよ生きてたから家もちょっと普通じゃなかったから」
それなら良いんだがと俺は言ってiPhoneで時間を見た。
『やばいなもう斎さんがそろそろ夜ご飯を作り終える時間だな。
とりあえず急いで帰らないと』
「ね、ねるとりあえずもうそろそろ夜ご飯の時間だから早く帰るぞ」
慣れてないために噛んでしまい内心笑われるなと思ったが、しかしねるは気にした風もなくわかったーと言ってふわふわと浮きながら俺の横に来た。俺たちは早歩きになりながら家に向かった。幽霊は歩かないけど。
家に着くと、ただいまと言ってドアを開けると夜ご飯のいい匂いが漂ってきた。台所からさあさあと床を擦る音が聞こえてきた。
「お帰りなさいませ幸気さん、もう夜ご飯はできておりますよ。主ももうお待ちです」
「そうですか、今すぐに行きます。後居候が増えるんですが良いですか?」
そう言ってねるのことを簡単に紹介した。もちろん出会い系でこうなったことは伏せてだ。
「ねるです、これからお世話になります」
上品に頭を下げながら言った。すると斎さんは口に手を当てて目を見開いた。
「まあ、幸気さんが私以外の幽霊を連れてくるなんて珍しいですね」
俺は今までの経緯を思い出し仕方ないと言う表情をした。だって解決しないと神様に殺されちゃうし。死にたいとい一瞬思っていたが他人に殺されるのは嫌だ。
「たまには俺も人助けはしたくなるんですよ」
斎さんはうふふと上品に笑った。
「大歓迎ですよねるさん、さぁーねるさんも家に上がって」
するとねるはお邪魔しますと言って家に上がっる。俺も靴を脱いで家に上がり自分の部屋に入った。ねるも一緒に入ってきて俺の部屋を興味深げに眺めていた。
「そんなに面白いもの置いてないと思うが」
俺は上着を椅子にかけながら言った。俺はぐるっと部屋を見たが変なところはない。むしろ俺の家の家系にしては普通すぎるくらいの部屋だ。
「男の子の部屋ってどんなのかなーって思ってエッチいビデオとかないの?」
ねるはニヤニヤしながら聞いてきた。俺は呆れた表情しながら置いてあっても言うと思った。
「その様子だと教えないみたいだね。早くご飯食べに行こ?」
ねるは待ちきれないという表情をしている。俺はもしかして死んでから何も食べてないのかと思いねるに食事何年ぶりだと聞いてみた。
「うーん、一年ぶりくらいかな」
『一年ぶりか、まあそんくらいならウズウズするのもわからなくないな。斎さんの料理は美味しいからなねるも満足するだろう』
「斎さんの料理は美味しいから満足いくまで食べていけよ」
うんとねるは弾けるような笑顔で言った。俺は部屋着に着替えてさぁ行くかーと後ろを向いていたねるに声をかけると不思議そうな表情で振り返った。
「そういえば斎さんってどうやって料理してるの?」
ねるが疑問に思うのも無理がない幽霊は大抵物を使うとかせいぜい数分しか持ち上げられないからだ。
「斎さんはうちの家に仕える古い式神なんだ。だから物も30分ぐらい持てるんだ。」
「そうなんだすごいねー、どれくらい前から仕えてるの?」
「平安時代ぐらいからだな、うちの家の起源と大体同じくらいだな」
俺は手で顎を触りながら言った。
「そんな前から!うちの家と同じくらいだねー幸気くんの家も陰陽師家だと思うけど、私の家も同じなんだよ」
ねるの家そんな前からあるのか、俺の家は古いと言っても民間のの陰陽師の出だからそんなに名門じゃないがな。ねるの家は名門なのだろうか?
「うちの家は古いだけだよ、ねるの家は公家の出なのか?」
「うん一応倉橋家なんだ」
倉橋って土御門の分家で陰陽師の家では超名門じゃん、まぁだとすると俺の陰陽師としての腕を見たら鼻で笑われるな。ねるの前では霊滅しないでおくか。
「名門なんだな、そろそろ夜ご飯食べに行かないか?」
俺はお腹をさすりながら言った。
「そうだね、そろそろ行こっか」
俺たちはドアを開けて台所へ向かった。これからの生活に少しの期待込めながら横にいるねるを見た。いやなに期待してるんだ。相手は幽霊だぞ。期待するだけ無駄だ。俺はそんなことを考えていた。
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