第294話 メタい
*
あの決意表明から一夜明け、俺は学校で体育祭の練習をしていた。
「九月なのに暑いなぁ……」
「天気も良いからな」
「太陽なんて滅びれば良い」
「お前インドアだもんな」
グランドの隅っこで休憩しながら英司と話しをしていた。
「そういえば休みの日撮影だったんだろ?」
「あぁまぁな」
「どうだったんだ? 芸能人には会えたのか?」
「まぁ一応な」
「羨ましいよなぁ~でも事務所はやめるんだろ?」
「今回の撮影だけって話しで入ったからな」
「もったいねぇなぁ~そのまま芸能界に入っちまえば良いのに」
「俺の性格知ってんだろ? そんな人気商売な世界はごめんだ」
「だろうな。CMがテレビで流れたら大笑いしてやるよ」
「そんなに長い時間は出てないけどな」
とはいってもあのCMを見られるのは少し恥ずかしい気もする。
「ところで話は変わるんだけどさ」
「どうした? まさかまた帰るなんて言うんじゃねぇだろうな?」
「いや、井宮と高城の事でな」
「あぁ、うちが誇る二代美少女な」
「そんな学校の代表見たいなレベルなのか?」
「まぁ普通に考えてそうだろ? あの二人以外にカワイイ生徒ってこの学校には居ないし」
「まぁいいや。夏休み明けてもやっぱりランキングは同率一位なのか?」
「あぁ、休み明け一発目に全男子生徒を対象にして秘密裏に集計したんだが……」
「そういえばお前が集計してるんだったな……」
「いやぁ今回もビックリだったよ。丁度半々に別れたんだからな」
「やっぱりか」
最近俺は二人の事を見ていて思うことがあった。
それは川宮さんと比べても見劣りしない二人はかなりの美少女なのではないとかいうことだ。
まぁ、このことを英司に言ったら絶対に「いまさら!?」とか言われそうなので声には出さないが。
そんな二人から好かれるというのは大変光栄なことなのだが、こういう状況になってみるとよくわかる。
人を好きになるのと異性を可愛いと思うのは全く別の感情なのだと。
「でも人間やっぱり顔じゃないからな」
「お前がそれを言うと皮肉にしか聞こえない」
「え? いや、俺は本当にそう思って言ったんだが?」
「そう言うのはイケメン以外の奴が言うから意味があんだよ。お前はバリバリ顔で得してるだろうが」
「そ、そうなのか?」
言われて見れば、中学時代も髪を切って顔を出すようになってから周囲の反応が変わったし……英司の言う通りかもしれない。
「まぁでも俺も顔が全てではないと思ってるよ。やっぱり顔が良くてもクズとは付き合いたくねぇし」
「まずお前には彼女が居ないだろ?」
「お前は喧嘩売ってんのか?」
「いや、俺も居ないし」
「メチャクチャ告られてんだろうが!」
「わかった、わかったからその手に持った石を置け」
「たく……危うく傷害事件を起こすとこだったぜ」
「お前を怒らせちゃいけないのはわかった」
「それで、あの二人の事を聞いたってことはそろそろ答えを出す時が来たのか?」
「まぁそう言うことだ」
「そうか、遂にお前もリア充か……残念だ、俺は自分の手で親友を殺さなくてはいけないなんて」
「なんで俺がリア充になったらお前に殺されるんだよ」
「そんなの羨ましいからに決まってるだろ!」
「本当にお前正直だな……てか、俺が誰とも付き合わないっていう答えもあるんだぞ?」
「それはない」
「なんでだ?」
「この物語の最後がそんないまいちな結末なわけないだろ?」
「おい馬鹿、やめろ」
「もう300話眼の前なんだぞ! 作者だってなんとか完結させようと必死なんだよ!」
「やめろ! 作者とか言うな!」
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