第283話 始まる女同士の戦い
*
夏休みが明けてもうちのクラスは相変らずだ。
夏休み明けのテストも終わり、学校では体育祭の準備が始まっていた。
「体育祭かぁ~だりぃ~」
「そうか? 体育祭は素晴らしいぞ! 女子がハーフパンツで汗を流しながら荒々しい息遣いで頑張るんだぞ? エロくないか?」
「それはお前の性癖なだけでは?」
まぁ、男子が考えることなんてこの程度のことだ。
しかし俺も男の子だ、こいつの気持ちが分からない訳でもない。
かく言う俺も女子の体操服姿にはドキッとする。
そんな体育の時間、俺は自然と自分の視線が二人の女子生徒に向いていることに気が付く。
「井宮と高城か?」
「はっ? べ、べつに見てねぇよ」
「わっかりやすっ! お前井宮さんとも何かあったろ?」
「はぁ? い、いや……」
やべぇ……なんとか誤魔化さないと俺は英司に殺される。
てか英司以外の男子にも惨殺されかねない。
「はぁ……まぁ、そうだろうなとは思ったけど、まさか美少女二人を手玉に取るなんて、やっぱりおまってイケメンなのな」
「べ、別にそんなつもりはねぇよ」
「知ってるってのお前がそう言う奴だったら俺はお前とこうして同じ高校に居ない」
「そうかよ……」
「それで、どっちにするんだ?」
「え?」
「高城さんか井宮、どっちと付き合うんだ?」
「そ、そんなの分かるかよ……」
「はぁ!? お前さぁ、自分を好いてくれてる子が居て、その子達から思いを伝えられてんだぞ? ちゃんと向き合ってやれよ」
「向き合ってるっての……向き合っても分かんねーんだよ」
「じゃぁどっちとしたい?」
「最低な質問だな」
「いや、これもちゃんとした判断材料だぞ? 好みの女性のタイプの子と付き合うのは不思議なことじゃない。じゃぁ好みのタイプとは何なのか、それは性的興奮を覚える女性だろ?」
うーん。
こいつのいう事も一理あるのか?
しかし、考えられん、俺が井宮や高城と……。
「お前今エロいこと考えたな」
「か、考えてねぇよ!!」
「嘘つけこのやろうぉ~モテる男は良いですねぇ~」
まぁでも確かに少しは考えてしまった。
一応俺も男だしそう言うことに興味が無いわけではない。
それに……。
「あ、ちょっと前橋」
「ん? どうした?」
「アンタ今日放課後暇でしょ? 新しいゲーム、今日発売でしょ? 一緒に買いに行かない?」
「あ、あぁ良いけど……」
体育の時間、俺と英司が話しをしていると先ほどまで走っていた井宮と高城が俺達の元にやってきた。
井宮の提案はすごくうれしい。
だが、その後ろで高城が面白くなさそうな顔で俺を見てくるのがいたたまれない。
「圭司君、私も一緒に行っても良い?」
「え? あ、あぁ俺は全然良いぞ」
「じゃぁ3人で行こうか、そう言えば最近駅前に新しいクレープ屋さんが出来たらしいよ? 買い物が終わったら一緒に言って見ない?」
「あぁ、そうだいっで!!」
俺が言いかけた瞬間、何故か井宮に思いっきり足を踏まれた。
「良いわねぇ! じゃぁ3人で行きましょうか!」
何故か3人という単語を強調する井宮。
そしてチラッと俺を睨む。
どうやら俺が高城も一緒にと言ったのが面白くないらしい。
いや、そんな顔されてもこの状況でダメとは言えないじゃん……。
「良いよなぁ……」
英司は恨めしそうに血の涙を流しながら俺を見ていた。
あぁ、これはまた後で英司と愉快な仲間達が俺を襲ってくるかもしれないな。
「椿ちゃんなんか最近圭司君と仲良いね」
「優菜ちゃんも最近前橋とよく一緒にいるね」
なんだろう……二人とも笑顔なのになんだか言葉に圧を感じる。
てか、この二人は同じ相手に告白した事を知っているのだろうか?
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